2010年夏CCS特集:アドバンスソフト
国内の先端理論をソフト化、応用ソフト展開を加速
2010.07.28−アドバンスソフトは、文部科学省プロジェクトで開発された最先端の計算エンジンを基盤に、デジタルエンジニアリングを実現するアプリケーションソフトのラインアップを拡大させていく。同時に、先端ソフトを使いこなすためのサービスにも、受託解析や受託開発などのかたちで取り組んできている。将来的には、パッケージと受託の比率を半々にすることを目指したいという。
同社は、2007年まで2段階で実施された「戦略的基盤ソフト」と「革新的シミュレーションソフト」プロジェクトに自ら参加し、世界最先端の国産計算エンジンの開発に取り組んできた。構造解析・流体解析といった機械系のエンジニアリング分野から、量子化学計算を中心としたバイオ/ナノテクノロジー分野まで、幅広い科学技術領域をカバーしている。
今後はプロジェクトの成果を基盤にアプリケーションを拡充していく方針。例えば、量子化学計算、第一原理バンド計算、メソスケールシミュレーション、分子動力学計算などのエンジンを組み合わせて統合した材料設計支援システムを開発中で、8月にも完成する予定。また、リチウムイオン電池の性能を材料レベルでシミュレーションするシステムも、来年3月にバージョン1をリリースしたいとしている。
一方、生命科学系では、たん白質と薬物の相互作用を解析する「Advance/BioStation」(ADBS)を提供しているが、これも今後は独自に機能を拡張していく。密度汎関数法(DFT)による構造最適化、MP2計算を高速化するRI法の導入を行っているほか、実用性を高めるためさまざまな物理量の計算機能も搭載していく。対象を生体分子だけでなく、化学・材料系にも広げることも計画しているという。