2010年夏CCS特集:エルゼビア・ジャパン
合成研究を統合DBで支援、毒性安全性情報検索も
2010.07.28−エルゼビア・ジャパンは、合成化学研究を効率化する統合データベース(DB)サービス「Reaxys」が好調。昨年1月に提供開始して以来、毎月データを更新、1ヵ月半から2ヵ月おきにバージョンアップを繰り返しており、操作性やパフォーマンスを改善するとともに、契約者も順調に拡大してきている。
Reaxysは、バイルシュタインのDBサービスをウェブ対応として一新したもの。もともと大手製薬業によく使われていたが、有機・無機と対応範囲が広く、豊富な反応情報に加え特許情報も統合したことにより、ウェブベースの使いやすさと相まって、中堅製薬企業をはじめ、受託合成・中間体・原薬メーカーなど化学会社にもユーザーが拡大してきた。
受託合成などの分野では、難しい合成ルートを短期間に探索し、正確な見積もりを示すように要求されることが多くなっているため、Reaxysが強力な武器になるという。具体的には、合成方法の検討を素早く行えるほか、物性の実測データを5億件以上(世界最大)収録しており、調査・検討にかかる時間を大幅に短縮できる。
また、大学関係でも、ウェブベースで環境を選ばず使え、見やすいわかりやすいということから採用例が増えてきた。Reaxysは構造を主体に検索でき、同じ反応が複数の文献や特許に収録されている場合にはそれらを一覧表示できるため、文献主体に検索する他社製品を補完する使い方が多くなっているという。
Reaxysの今後の機能強化としては、類似構造検索機能の導入、文献フルテキストDBであるサイエンスダイレクトとの双方向連携の実現などが予定されている。将来的には、顧客のインハウスDBとの統合利用、電子実験ノートなどの外部アプリケーションからReaxysのDBにアクセスするためのAPI公開なども検討したいとしている。
一方、医薬品毒性・副作用DB「Pharma Pendium」も、他では得られない情報源として大手製薬企業の大半で利用されている。欧米で上市されたすべての薬物を網羅しているが、前臨床・臨床での薬物動態データを検索できる新しいモジュールがこの夏に製品化される。さらに注目度が高まりそうだ。