2010年夏CCS特集:富士通

実験ノート完全電子化実現、計算化学系も機能強化

 2010.07.28−富士通は、計算化学、情報化学、分析・測定支援と幅広いパッケージを揃え、科学技術計算や大規模データベースのための高性能ハードウエアも含めて、研究所における総合的なIT環境をワンストップで提供できる強みを持つ。

 昨年から今年にかけては、とくに情報化学系のシステムの受注が好調。米ケンブリッジソフトの電子実験ノートは本格導入の動きが活発化しており、国内初の完全電子化システムを構築・提供するという実績をあげた。今後は、準大手・中堅製薬会社の需要を喚起するとともに、電子ノートと連携する化合物管理システムの受注拡大も狙っていく。

 また、分析データの統合管理システムである加ACD/Labs製品は、NMRやMass、UV/IR/ラマン、クロマトグラフィーなどの分析業務別に体系が整理されたほか、分析部門の業務フローに合わせたアプリケーション開発でも実績を伸ばしている。とくに最近では、分析データを自動的に収集し、解析し、データベース化までを一貫して行うシステムへのニーズが拡大しているという。

 一方、計算化学系の自社パッケージ「SCIGRESS」は、燃料電池などの材料開発が活発化していることを背景に堅調に推移している。とくに、電子状態を考慮できる第一原理計算へのニーズが高まっており、PHASEやADFといった外部計算エンジンを取り込んだことで評価が高まっている。GaussianやGAMESSとのインターフェースも備えているが、今後はさらにこれら計算エンジンの機能を引き出せるように、解析部分の開発に力を入れていく方針だ。

 計算化学の専門家向けではなく、実験研究者のためのシミュレーションソフトとしてさらなる発展を図る。


ニュースファイルのトップに戻る