2010年夏CCS特集:化学情報教会
年間定額制のウェブ版浸透、反応検索で新機能追加
2010.07.28−化学情報協会が提供している米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)のオンライン検索サービス「SciFinder」は、ウェブ版の機能向上が進んで利用者が増加。とくに、料金を気にせずに使える定額制のコーポレート契約が浸透しつつあり、コアユーザーの化学・医薬関係だけでなく、ユーザーの裾野の広がりも目立つ。
SciFinderは、物質・反応・文献・特許を網羅したCASデータベースにアクセスするためのサービスで、ブラウザー経由でインストールなしで利用できるウェブ版が主流になってきている。機能追加などのバージョンアップが早いのもウェブ版の利点で、直近では4月に実施されたばかり。
最近では、とくに反応検索の機能が充実してきているという。例えば、反応物および生成物のうち、カタログ情報が存在するものについては、検索結果とともにアイコンが表示されるようになった。アイコンをクリックすると試薬カタログ情報が表示されるが、その際によく利用する供給業者をあらかじめ指定しておき、リストの上位に表示するという便利な機能も追加されている。
また、反応データベースの検索では得られない反応情報を文献データベースから探してくる“アディショナルリアクション機能”も強力なツールだ。1900年ごろの文献までさかのぼれるので、追加の合成経路を探索することに役立つ。
そのほか、構造式で検索する場合に、ChemDrawから構造をコピー&ペーストすることが可能になった。さらに、エンドノートやリファレンスマネジャーなど、論文作成に便利なツールに対するデータ変換も操作性が向上している。