2010年夏CCS特集:JSOL
材料研究で活用事例が拡大、CAE領域との連携も
2010.07.28−JSOLが独自開発の国産パッケージとして提供している材料特性シミュレーター「J-OCTA」の普及が一段と進んできている。正式に製品化されて5年になるが、ユーザーサイドでの本格的な活用事例も増え、ライセンス数も着実に増加してきている。
J-OCTAは、経済産業省プロジェクトで開発された「OCTA」の計算エンジンを利用するための使いやすいGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)環境を搭載したシステム。とくに、粗視化分子動力学エンジンCOGNACの機能を取り入れて独自に製品化した並列ソルバー「VSOP」の評価が高く、大規模なPCクラスターを使用して本格的な解析に取り組むユーザーが増えている。
プログラムのカスタマイズや解析コンサルティングサービスなどの業務も忙しくなっており、さまざまな材料研究の事例の蓄積も進んできているという。ゴムやプラスチック、薄膜、塗料、電解質など、さまざまな領域の材料特性の予測、メカニズム理解を助けることが可能。最近公開した事例集としては、界面張力や溶解度パラメーター、比誘電率の評価、複合材料の非線形力学特性、レオロジー特性、熱硬化性樹脂の架橋構造、気体の溶解係数と自由体積、高分子と固体界面の剥離・摩擦−などがある。
同社は、構造解析ソフト「LS-DYNA」で有名だが、この分野でも樹脂材料の挙動をシミュレーションすることが大きな技術課題として注目されつつあるという。また、複合材料特性を予測する「DIGIMAT」といったソフトも扱い始めている。これらCAE領域とJ-OCTAがすぐに直結するわけではないが、ユーザーが共通である場合が多いため、相乗効果もあらわれているという。