2010年夏CCS特集:物質・材料研究機構
公開DBサービスを再構築、無機材料DBなど刷新
2010.07.28−独立行政法人 物質・材料研究機構(NIMS)は、データベースステーションを通して2003年から公開している物質・材料データベース(DB)「MatNavi」のシステムを再構築、7月からサービスをリニューアルした。高分子材料「PoLyInfo」、無機材料「AtomWork」、金属材料「Kinzoku」といった多種類のDBを中心に、複合材料の熱物性予測などのアプリケーションを無料で利用することができる。また、内外の材料情報を提供する外部機関とのリンクも張られており、物質・材料研究のポータルサイトとしても充実している。
MatNaviにまとめられているDBは、国プロジェクトなどで開発された資産を引き継いで維持・管理・更新しているものが多い。このため、内外からの評価も高く、実際にこの6月末時点での登録ユーザー約5万2,000人のうち、約1万5,000人が海外からの利用者で、それは140以上の国や地域におよんでいる。
今回のリニューアルは、老朽化したサーバーを入れ替え、オープンシステムを全面的に採用して維持管理費の低減を図りながら、シングルサインオンやパスワードの即時再発行など利便性の面でもシステムを大幅に強化したもの。
肝心のDBについては、とくに結晶基礎DBは「AtomWork」と名前を変え、多元系の結晶構造、状態図データ、XRDおよび特性データを拡張、約8万6000件のデータを収録した無機材料DBとして生まれ変わらせた。金属材料DB「Kinzoku」も、これまで分散していたデータを1つに集約・統合したもので、検索画面からデータ参照まですべて日本語で利用することができる。
今後は、オンラインで検索するだけでなく、データを手元で利用したいという企業などのニーズにも応えられるようにしていくという。