2010年夏CCS特集:ウェイブファンクション
次期バージョン年内提供へ、教育用途で豊富な実績
2010.07.28−ウェイブファンクションの分子モデリングシステム「Spartan」は、量子力学をベースにした本格的な計算化学機能と、グラフィックを中心にした使いやすさを武器に教育用途で圧倒的な強みを発揮。大学や高専のカリキュラムをサポートするシステムとして広く普及してきている。Windows、マッキントッシュ、UNIX/Linuxとすべてのプラットホームに対応していることも教育用途で好まれる理由だ。
Spartan自体は企業の研究用途にも対応できるが、開発者であるヒーリー社長がカリフォルニア大学アーバイン校の名誉教授であり、10年以上にわたって国内で定期的に教育向けワークショップを行っていることもあって、国内では教育機関のユーザーが大半を占めている。最近の事例では、弘前大学の教育学部に50本導入された。また、大阪大学ではPCクラスター環境での利用がスタートしたという。
この事例のように、最近では計算エンジン部分をPCクラスターで並列処理する使い方が増えてきている。高速計算のニーズは民間市場でも大きいため、システム販売を通してあらためて企業向けにも普及を促進させたい考え。現在、PCクラスターの構築を手掛けるハードベンダーなどのパートナーと交渉を進めている。
さて、現在のバージョンは「Spartan '08」だが、今年の秋のアメリカ化学会を目標に「Spartan '10」を開発中。年内には正式リリースとなる。操作系がさらに洗練されて使いやすくなっているほか、NMRスペクトル機能の強化、データマイニング機能の搭載などが行われる。保守ユーザーは無償でバージョンアップできる。