2010年冬CCS特集:サイバネットシステム

化学構造式OCRに人気集中、ナノ材料系も機能強化

 2010.12.02−サイバネットシステムは、ライフサイエンス系とナノ材料系の2つの領域でCCS事業を展開。ユニークな製品群と高いサポート力で着実に実績を伸ばしている。

 ライフサイエンス系では加シムバイオシス製品が主力だが、最近では英キーモジュールの化学構造式OCRソフト「CLiDE」(クライド)の人気も高まってきている。印刷物やイメージ画像の中に記載されている構造式をスキャンし、ChemDraw形式やMOL形式などの構造式エディターで編集できるデータ形式に変換する機能を持つ。

 天然物などの複雑な分子構造を人手で作図するのは手間がかかるが、CLiDEを利用すれば、スキャンするだけですぐに物性計算やドッキング解析などに活用することが可能。最新バージョンで認識速度と認識率が大幅に向上したことで、注目度が高まった。

 パッケージは、構造式を1つずつ選んで変換するスタンダード版、ファイル単位・ページ単位で複数の構造式を一度に変換できるプロ版、コマンド操作で複数ファイルを一気に変換するバッチ版の3種類が用意されている。価格も、スタンダード版でアカデミック向け年間ライセンスが5万円、企業向けで同10万円と手ごろである。

 また、このほど新たに生物学的等価体データベース「BIOSTER」の取り扱いも開始した。薬物分子の構造修飾などを行う際、構造の一部を生物学的に等価(形状や静電ポテンシャルなど)な構造に置換する目的で利用できる。英デジタルケミストリーが提供する製品で、等価体として約2万4,000件の情報を収録している。

 一方、ナノ材料系はデンマークのクオンタムワイズ社の「Atomistixツールキット」が主力。8月に最新版にバージョンアップしたが、計算エンジンとして密度汎関数法と半経験的方法の2つが統合されたことが大きな特徴となる。とくに、半経験的方法は5,000原子から1万原子近い大規模な系を解析することが可能で、計算精度も密度汎関数法に劣らないという。これにより、現実のナノデバイスに近い世界を原子レベルでシミュレーションすることが可能になった。

 企業や研究機関向けの受託計算サービスも、有償・無償で受け付けており、製品の販売に結びつくケースも多いようだ。


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