2010年冬CCS特集:インフォコム
創薬支援製品群ますます拡大、自社製品を海外でも販売
2010.12.02−インフォコムは、モデリング系で米シュレーディンガー、インフォマティクス系でスイスのナイム・ドットコム製品が好調に推移しており、人員増を含めたさらなる事業拡大を模索しはじめている。
同社の製品は多彩で、薬物動態や毒性などの物性予測で加ACDやハンガリー・コンピュードラッグ製品、データマイニングでスウェーデンのユーメトリックス製品、ケムインフォマティクス分野で英ドットマティクス製品をはじめとして、広範なラインアップを築いている。
なかでも、主力に成長したのがシュレーディンガー製品。SBDD(ストラクチャーベースドラッグデザイン)とLBDD(リガンドベースドラッグデザイン)の両面からの機能を豊富に揃えた創薬支援統合プラットホームとして、ますます発展しつつある。
シュレーディンガーはCCS産業界でも最大の成長株で、今年4月にビル・ゲイツ氏の個人投資会社から1,000万ドルの出資を受けたニュースは業界の大きな話題になった。同社はとくにサイエンスの推進にこの資金を使用する考えであり、今後の製品開発への期待が大きい。
シュレーディンガー製品は共通のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)として「マエストロ」を持っているが、計算エンジンをどれか購入すればマエストロは無償で1,000本が提供されることになっている。同社のサイエンスへの自信があらわれているともいえるだろう。
ただ、マエストロは高機能であるため、薬化学者向けに機能を絞って使いやすくした「マエストロ・エレメンツ」を来年から用意するという。
一方、ナイム・ドットコム社の「KNIME」は、エンタープライズ版がこのほどリリースされ、インフォコムとしても事業展開に弾みがついてきている。KNIMEのワークフローに組み込んで使えるノード集「JChemエクステンションズ」を自社製品として販売しており、パートナーであるハンガリーのケムアクソン社を経由して海外での販売にも乗り出した。早くも大手製薬企業向けに実績が出始めており、今後の拡大への期待が日増しに高まっている。