2010年冬CCS特集:化学情報協会

ウェブ版普及でさらに強化、反応検索で機能が向上

 2010.12.02−化学情報協会が提供している米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)のオンライン検索サービス「SciFinder」の機能がますます向上し、大学や企業での利用がさらに広がってきている。とくに、パソコンにインストールして使う専用クライアント版から、どこからでもブラウザー経由でアクセスできるウェブ版へのシフトが進展。ウェブ版の登場によって機能と使い勝手が格段に向上したことが、大きな評判を呼んでいる。

 SciFinderは、物質・反応・文献・特許を網羅したCASデータベースを利用するためのサービスで、ここへきてウェブ版だけの新機能が精力的に搭載されてきている。

 とくに、化学反応に関する機能が充実。今年の8月リリースでは、マルクーシュ構造での検索が可能になった。これにより、従来の構造検索では得られない特許情報を取得することが可能だという。

 次いで、12月リリースでは、化学反応情報の表示機能が強化され、反応物・生成物・反応条件などに加え、新たに実験項が収録される。これまでは、実験の再現性などを確かめたい場合、ソースの文献や特許の全文を調べ、該当する項目を探し出す手間がかかったが、この新機能により効率性が一気に改善される。ユーザーからの反響も大きく、反応情報の収録数が4,100万件と急増していることもあり、さらなる利用が期待されるという。

 もっとも、情報量が多ければ、データの絞り込みがたいへんになる側面もある。この点で、12月リリースでは、回答集合を関連性に基づいて並べ替えるソートオプションが追加される。関連性はタニモトアルゴリズムによって判断される。ほかにも、収率や反応ステップ数、実験項の有無などでもソートできるため、ほしい情報の発見が容易だ。

 さらに、12月リリースでは、SMILES形式やInChI形式でのテキスト表記を構造式に変換し検索する機能も利用できる。また、アメリカ化学会(ACS)との連携も強化される予定で、ACSサイトの学術論文のページ内からSciFinder検索が利用できるようになる。


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