2010年冬CCS特集:オープンアイ・サイエンティフィック・ソフトウェア
対日展開ますます活発化、新パッケージも提供開始
2010.12.02−オープンアイ・サイエンティフィック・ソフトウェアの2010年は、4月に日本法人の東京オフィス開設、およびアプリケーションサイエンティストなどスタッフ増員、7月に初の研究者イベント“J-CUP”開催と、対日戦略で設立以来もっとも充実した1年となった。分子モデリングなどの研究を振興しようという同社の基本理念をさらに推し進め、学界から産業界まで幅広く知名度向上を目指していく。
第2回のJ-CUPは、来年5月半ばでの開催が決まった。海外から著名な研究者を招待講演者として招くほか、日本人の口頭やポスターでの発表を増やし、ユーザー以外にもオープンにして、モデリング関連の研究者の交流の場としての性格をさらに強める計画。
同社の製品・技術は、商用利用を除いてアカデミックユーザーには無償で提供されている。これらのユーザーが研究を前進させて論文を発表することにより、同社の技術に対する評価が高まり、産業界における普及を後押しするという相乗効果を生み出している。いわば、論文や口頭、ポスターによる研究発表が、同社のソフトの有用性を示す生きた証拠となっているわけだ。
一方、同社の製品群は、モデリングのためのアプリケーションと、プログラム部品としてのツールキットの2つに大きく分けられる。とくに、分子の形状と静電ポテンシャルに注目したモデリング技術が同社の特徴で、X線構造解析の「AFITT」などユニークなアプリケーションが多い。最近では、ツールキットも含めて、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)環境を充実させてきている。
また、普及に向けた新しい試みとして、ユーザー指定パッケージを提供開始する。1指名ユーザーに限って、同社の主要製品群を自由に使用できるという契約であり、並列処理にともなうマシンの制限もない。同社製品の価格はすべてドル建て世界共通であり、いまなら年間450万円ほどの安価で使い放題になるという。来年に向けて、提案に力を入れる。