デルとエヌビディアがGPUコンピューティング普及で協調

本格活用へ共同ソリューション、拡張シャーシ使用で9.3TFLOPS

 2010.10.06−デルとエヌビディアは5日、GPUコンピューティングを産業界で推進するための共同ソリューションを発表した。デルのデータセンター向けサーバー「PowerEdge C6100」と「PowerEdge C410x」を組み合わせた構成に、エヌビディアのGPUユニットである「Tesla M2050」などを装着したシステムとなる。両社では、GPUコンピューティングは研究目的での“黎明期”をいよいよ脱し、産業界での応用を進める“普及期”に入りつつあるとしており、今回のソリューションは本格的にGPUコンピューティングに取り組むユーザーに向けたものだと位置づけている。

 エヌビディアは、9月21日から23日にかけてカリフォルニア州サンノゼで「GPUテクノロジーコンファレンス」(GTC2010)を開催。270のセッション、104のポスター発表が行われ、2,200人が参加した。とくに、同社のGPUコンピューティングのための統合開発環境である“CUDA”をめぐるエコシステムが充実してきていることが強調されており、コンパイラーやデバッガー、ライブラリーなどの開発ツールに加えて、具体的なアプリケーションパッケージも登場。数学ソフトの「MATLAB」、分子動力学ソフトの「AMBER11」でのマルチGPUサポート、機械系CAD「ANSYSメカニカルR13」、グラフィックソフト「3ds Max」のレンダリングエンジンでのGPUサポート−などが会場での注目を集めたという。

 なかでも、分子動力学法(MD)シミュレーションに関するJACベンチマークで、1日に計算できる最大量を測定したところ、CPUは数を増やすほどに並列効率が落ち、192個のクアッドコアCPUでの46ナノ秒間の計算が最大値になったが、GPUは8個で52ナノ秒間の計算を実行できたという。

 さて今回、デルはCUDAのエコシステムにおける初のソリューションプロバイダーとして、パートナーリストに名を連ねることになった。具体的な対応製品は「PowerEdge C410x」。これは、PCIエクスプレス(PCIe)スロットの拡張シャーシで、3Uの筐体に16台のPCIeデバイスを搭載することが可能。最大で8台のサーバー(ホスト)からこれらのデバイスを使用することができる。

 デルでは、GPUコンピューティング用途には、ホスト機としてブレードサーバーの「PowerEdge C6100」を使用し、これに拡張シャーシの「PowerEdge C410x」を組み合わせたものを推奨構成としてサポートしていく考え。C410xのPCIeスロットにはTesla Mシリーズ(M1060、M2050/M2070)を装着することができ、16スロットすべてを埋めると、計算能力はピーク性能9.3テラFLOPSに達する。ただ、単純にGPUを増やすと通信バンド幅が減少するので、実際にはアプリケーションの並列特性を考慮して、C6100とC410xの構成をさまざまに変化させる必要があるという。


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