米ネクサン:ワトソンCTO&パグマイア副社長インタビュー

高効率ストレージの技術革新さらに、日本向け出荷台数3倍の伸び

 2010.12.18−SMB市場向けのストレージソリューションを提供する米ネクサンテクノロジーズのビジネスが好調に拡大している。省スペース・省電力で使いやすいことに加え、信頼性と品質に優れていることを武器に、市場での存在感も増してきた。同社の事業の現状や最近の技術面での進歩について、ゲイリー・ワトソンCTO(Gary Watson)と、アジア・中東地区営業担当のグレッグ・パグマイア副社長(Gregg Pugmire)に聞いた。

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 ネクサン社の創業は1999年に英国で行われた。開発は現在も英国だが、本社はカリフォルニア州のサウザンドオークスに置かれている。日本市場への本格進出は2008年から。今年は非常に好調で、2009年に対して顧客数で2倍、出荷台数で3倍の成長を達成したという。「現在の日本オフィス(斉藤徳浩カントリーマネジャー)の体制を強化し、来年からはアジア全体の技術サポート拠点として機能させる。近い将来の現地法人化も視野に入れたい」(パグマイア副社長)。

 同社の製品は、eメールやビジネスドキュメント、ビデオイメージ、医療画像、研究データ、ログなどに対するバックアップやアーカイブ、一時保存といった用途で使用されているが、「時代に合わせ、コスト効率の高いストレージ、高密度なストレージ、環境にやさしいグリーンストレージなど、技術的なトレンドを先取りして業界をリードしてきた」とワトソンCTO。「科学研究の分野では研究データや実験データが急増しており、データ分析のニーズも高い。典型例が巨大な粒子加速器を持つ米国立フェルミ研究所で、400台の「SATABeast」を導入し、10ペタバイト以上のストレージを構築している。また、医療分野はデータのサイズが巨大なうえ、30年〜50年という長期保存に耐える信頼性が重視される。このため、GEやアグフア、マッケソンといったヘルスケア企業に当社のストレージが標準として採用されている。少し変わった用途では、ロイヤルカリビアン社の事例がある。これはクルーズ船のメーカーだが、船内にはセキュリティカメラがたくさんあり、大量の映像を保存する必要がある。しかし、船にはITエンジニアは乗っていないし、余分なスペースもない。そういうわけで当社のストレージが採用された」と話す。

 その同社の最近のイノベーションがHESと呼ばれる高効率ストレージ。電力、スペース、TCO(総所有コスト)の観点でさらに高い効率を実現したものだ。その最新の製品が「NXS-B60E」で、同社の主力製品である「SASBeast/SATABeast」の拡張ユニットとして利用でき、4Uサイズの筐体に最大60台のSASまたはSATAドライブを搭載することが可能。4Uに120テラバイトを収容できる。Beastに内蔵された42台のドライブと合わせると、8Uのサイズで204テラバイトという高密度実装が実現される。

 ワトソンCTOは、「B60Eでは省電力技術のAutoMAIDをさらに強化している。ドライブの使用状態に応じて、ヘッドをアンロード状態にするレベル1、ドライブの回転数を下げるレベル2、スリープモードで回転を停止させるレベル3に加え、電源をオフにするレベル4を組み込んだ。トータルで75〜80%の省電力化を達成できる」と説明する。

 NXS-B60Eの先行導入事例として、遺伝子研究の世界的機関である英国サンガー研究所がある。今年4月に、ストレージをネクサン製品にリプレースしたもので、ディスク容量は4ペタバイトに拡張したが、スペースはリプレース前の16ラックが3ラックに減少したということだ。

 一方、パグマイア副社長は、「日本の顧客は性能はもちろんだが、品質に対してとくに厳しい目を持っている。当社の製品はSMB向けだがエンタープライズクラスの信頼性を保証しており、2004年から出荷前のドライブにストレステストを実施。内部シリンダー、外部シリンダーに集中的なストレスをかけるほか、パフォーマンスとサーボの特性を分析し、信頼性の高いドライブだけを組み込んで提供している。このように、当社の製品は日本市場で成功する要件をすべて満たしていると思う」と自信をみせる。

 日本以外では中国市場に注目しているというパグマイア副社長。すでに中国にもカントリーマネジャーを置いているが、「政府の科学機関をはじめ、映画・テレビ、ドキュメントアーカイブ分野などで大量のデータストアが始まったところだ。新しい市場として今後の成長が期待できる。日本での成功を中国市場への展開につなげていきたいと考えている」と述べる。


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