アクセルリスが次世代シーケンサーへの対応を強化
専門コレクション発売、英オックスフォード・ナノポアとの提携も
2011.04.06−アクセルリスが次世代シーケンサー(NGS)対応を強化している。大量データ解析のパイプラインを構築するための「Pipeline Pilot」向け専用コレクションを準備したことに続き、この分野で特異なノウハウを持つ英オックスフォード・ナノポアとパートナー契約を結んだ。NGSは多目的に利用できるため、生体分子がつかさどる各種の生命現象をより踏み込んだ形で研究できるシステムとして利用が進んでいるが、得られるデータが膨大なことから、有用な知識を引き出すうえでデータ解析技術がカギになるといわれている。同社は、こうした生命科学研究の最先端で、今後も積極的にソリューションを展開していく方針だ。
NGSは、遺伝子配列を自動的に読み取ることに特化した初期のシーケンサーに比べ、その処理能力の大きさ(数百倍から数万倍)だけでなく、多様な用途に利用できることが特徴。転写物を調べるトランスクリプトーム解析、遺伝子発現パターン/転写制御ネットワーク解析、DNAとたん白質の相互作用の解明、ゲノムDNAの修飾や修飾部位の特定などのエピゲノミクス解析、たん白質間相互作用の解明、ゲノムDNAの3次元空間における配置の解明、腸内細菌の動態などのメタゲノミクス解析など、さまざまな解析に役立つ分子情報の取得が可能。
アクセルリスが新たに提供する「NGS Collection for Pipeline Pilot」(NGSコレクション)は、NGSデータ解析のためのアプリケーション開発、NGSデータ処理の統合と自動化など、膨大なデータの分析と解釈の高速化に必要なツールを取り揃えたもの。「Pipeline Pilot」では、単位操作のための“コンポーネント”を組み合わせて一連の“プロトコル”を構築することで、データ処理などを自動化するパイプラインを容易に実現できる。同社では、特定の用途別のコンポーネント集を“コレクション”として提供している。
今回のNGSコレクションは、強力なアルゴリズム、データ管理、可視化のコンポーネントを搭載し、ドラッグ&ドロップ操作で視覚的にプロトコル開発が可能。それを共有・再利用することにより、データ解析の簡素化・標準化・高速化を支援して、専門家から一般研究員に至るまでの幅広いユーザーの活用が可能。de novo アセンブリー、リファレンス配列へのマッピング、多形および構造の変異の特定、発現解析、転写因子結合部位の特定など、一般的なアルゴリズムも広くサポートしている。
一方、同社ではNGSの有力メーカーの1社である英オックスフォード・ナノポア社との提携も実現。ナノポアの「GridION」システムの推奨分析プラットホームとして「Pipeline Pilot」が選定されたもので、NGSコレクションを通して機器からの一次データのリアルタイム分析を実施する。
このため、ユーザーは必要な実験の評価項目を指定して、十分な実験データが得られるまで効率的にシステムを動作させられる。また、実験をリアルタイムに監視することになるため、実験中でもフィードバックによる調整を行うことが可能である。
ナノポア社の技術は、単分子のシーケンスする対象となる核酸を、ポリメラーゼで塩基を置換することなく、物理的方法で直接検出するというユニークなもの。両社のパートナーシップは、まずはDNA配列分野をターゲットにするが、たん白質解析など「GridION」の他のアプリケーション分野にも適用を順次広げていくことにしている。