2011年夏CCS特集:アフィニティサイエンス

巨大分子の電子構造を解析、実行環境立上げ支援も

 2011.06.23−アフィニティサイエンスは、研究支援ソフトの輸入販売を中心に、研究者・技術者向けのサービス展開に力を入れている。昨年に技術サポートの専門スタッフを採用したが、今後は営業を増やす計画であり、設立4年目を迎えて順調に軌道に乗りつつある。

 最近評判なのがスペインのナノテックエレクトロニカ社が開発した第一原理分子動力学シミュレーションソフト「SIESTA」。密度汎関数法(DFT)を用いて数千原子という巨大な系の電子構造計算が行えるうえ、アカデミックでの利用は無償となっている。

 ただし、ソースコードをコンパイルして実行環境を整える必要があるなど、コンピューターに不慣れなユーザーにはやや敷居が高い。そこで、同社では有償で導入支援サービスを提供し、好評を得ているということだ。

 さらに、今後はこれを他のソフトにも広げていく考え。CCS分野にはオープンソースやフリーソフトがいくつもあるが、それらの導入に苦労しているユーザーが多いことに着目した。ハードウエアパートナーと協力して、PCサーバーの設置やクラスターの構築なども含めてサービスを提供していきたいという。

 一方、ウィーン工科大学で開発された「WIEN2k」も引き合いが活発に寄せられている。DFTをベースにした固体の電子構造計算プログラムで、とくにスペクトルの予測で評価が高まっているようだ。

 同社では、今後も材料系と創薬系の両分野で、マルチスケールの計算化学環境を整えていくことにしている。


ニュースファイルのトップに戻る