2011年夏CCS特集:富士通九州システムズ

薬物同士の相互作用を予測、米国市場でも高い関心

 2011.06.23−富士通九州システムズ(FJQS)は、自社開発の独自製品に加え、富士通および菱化システムが持つ多彩なCCSパッケージソフトの販売、システムインテグレーターとしての開発力を生かした受託プロジェクトまで、幅広い事業展開を行っている。自社パッケージでは海外での事業化にもチャレンジしており、その成果が注目されている。

 同社が今年最も力を入れているのが、薬物相互作用予測ソフト「DDIシミュレーター」。東京大学大学院薬学系研究科の杉山雄一教授の監修のもとに製品化されたもので、副作用などの薬物同士の相互作用を、実際の投薬計画に照らして定量的に見積もることができる。

 近年、新薬の開発過程で、自社の化合物を阻害薬と被相互作用薬の両方の側面で評価することや、既存の医薬品との併用における相互作用の影響を評価しておくことが重要になっている。DDIシミュレーターはそうした用途に利用できるユニークな製品で、海外での注目度も高い。

 今月6日には、米国シアトルで開かれた国際薬物相互作用学会(DDI 2011)で初めてセミナーを開催した。製薬会社を中心に40人余りの聴講者が集まり、活発な議論・意見交換が行われたという。続けて、10月にアトランタで開催される国際薬物動態学会(ISSX)にも出展する予定であり、今年は海外でのプロモーションを強化していく。

 海外向けには子会社のFQSポーランドを通して販売しているが、米国内の代理店の起用も計画中だとしている。

 一方、体内での薬物の吸収・代謝や毒性などを予測する「ADMEWORKS」はすでに10年近くの歴史があり、製品としての完成度もかなり高い段階に到達しているが、さらに予測精度を高めるために“カテゴリーアプローチ”を組み込む方向で開発が進んできている。

 また、医薬だけでなく、化粧品素材などの分野でも適用が進んでおり、ADMEWORKSで利用できる光毒性モデルが欧州の学会で注目されたという。EUでは、開発の過程で動物実験を行った化粧品は輸入できないという規制があるため、インシリコで毒性が予測できる機能が関心を集めたようだ。


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