化学情報協会が米CASの「SciFinder」最新版を提供開始
新機能「SciPlanner」に注目、複雑な知識をわかりやすく整理
2011.05.03−化学情報協会(JAICI)は、物質・特許などのデータベース(DB)を中心にした米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)の科学者向け研究ツール「SciFinder」の最新版を提供開始した。とくに、新機能の“SciPlanner”は検索して得られた知識をわかりやすく整理できる一種のワークスペースで、複数の文献からの反応式・実験手順・原料・書誌情報などを一覧的に統合することが可能。さまざまな文献の反応を組み合わせて新しい反応経路を設計したり、テーマやプロジェクト単位で情報を整理したり、研究レポートを作成したりすることが簡単に行える。研究者のクリエーティブな発想を支援する新しいツールとして注目される。
SciFinderは、CASデータベースを中心に化学物質や特許情報を網羅したサービスで、ウェブブラウザーから利用することが可能。今回のSciPlannerは4月のバージョンアップで追加された新機能となる。
SciFinderでは膨大な情報にアクセスすることができるため、その検索結果をいかにわかりやすく見せるか、どう有効活用するかが課題となっていた。SciPlannerはそうしたニーズに応えて開発された研究ツール。いわば、ホワイトボードに気になる項目を貼り付けて関連付けながら情報を整理していくイメージで利用できる。
具体的には、検索画面に新しく「Send to SciPlanner」ボタンが表示されるようになっているため、まずは検索結果の気になった項目にチェックを入れてそのボタンをクリックし、どんどん情報をクリッピングしていく。次に、画面のリンクを使ってSciPlanner画面に移動すると、クリッピングした情報が「ライブラリースペース」にずらりとならんでいるので、それをドラッグ&ドロップして、ホワイトボードのような「ワークスペース」に自由に配置していくという使い方になる。
ライブラリーには、クリッピングした情報が「文献」「物質」「反応」の3つのタブにまとめられているのでわかりやすい。また、同じ化合物を含む複数の反応スキームをワークスペースにまとめる場合、自動的に同一化合物の部分が重なってスキームを1つに結合することが可能。ワークスペースに貼られた情報はただの絵ではなく、DBへのリンクを保持しているので、ワークスペース内から反応条件などの詳細情報を直接確認することもできる。ワークスペースにまとめた情報は自動的にサーバー上に保存され、印刷したり、高画質画像形式やPDF形式で保存したりすることも可能だ。
なお、SciPlannerの実際の動作や機能は、だれでも無料で閲覧・利用できるeラーニングツール(http://www.jaici.or.jp/sci/elearning/sciplannerj.htm)で確認されたい。