パーキンエルマーがケンブリッジソフトを買収

アルタスラボと合わせ2億2,000万ドルで、ソフト事業強化の方向性

 2011.04.13−大手分析機器・バイオ機器メーカーの米パーキンエルマーが、電子実験ノートブック(ELN)や化学者向けデスクトップソフトなどで知られる米ケンブリッジソフト(CS)を買収した。第2四半期に手続きが完了する予定。今回、同社は別のELNベンダーである米アルタスラボ(ArtusLabs)も買収完了したことを明らかにするなど、ITおよびソフトウエア関連への投資を拡大する考えを示している。企業の研究関係の各種資産を一括管理する“OneSource”と呼ばれるサービスに沿った戦略の一環だとしている。

 今回の買収は、3月24日付で発表されたもの。買収金額はCS社とアルタス社を合わせて2億2,000万〜2億3,500万ドルの水準となる。今年の2社の売り上げを合わせると、約6,500万ドルと予想されるという。

 パーキンエルマーは、ライフサイエンス研究で使用するバイオ機器や、化学・材料研究で活用される各種分析機器を幅広くラインアップしており、CS社とは共通の顧客が多い。CS社の事業を統合したあとのマネジメント体制や製品体系がどうなるかなどはいまのところ不明だが、独立性のある新規事業ユニットとして組織に組み込まれる可能性が高いだろう。少なくとも、現場の分析機器などとの連携が推進されることは、ELN製品からみればプラスだといえる。

 パーキンエルマーの日本法人は1978年から活動しており、150名の社員を抱えている。一方のCS社は2006年から日本事務所を本格的に開設し、日本人職員(主に技術スタッフ)の増員を進めてきていた。事業統合後に日本での事業体制がどうなるか注目される。

 バイオ・分析機器メーカーがCCSベンダーを買収した例は、サドラーデータベースやソフトシェルを買収したバイオ・ラッド、研究所の統合データ管理システムを開発していたニュージェネシスを買収したウォーターズ、ELN製品のKalabieを買収したアジレントなどこれまでにも多数あり、よくみられるパターンのM&Aだといえそう。


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