ビヨンド・コンピューティングが「MolWorks3.1」用プラグイン提供開始
グラフィック機能や物性推算など、ACS出展で海外でも普及へ
2011.09.27−ビヨンド・コンピューティングは、無償で利用できる分子モデリングソフト「MolWorks」を機能強化し、最新バージョン3.1を提供開始した。プログラム本体は無償のままだが、拡張機能をプラグインとして追加できることが特徴で、これを有償で提供(年内は無償)することにより事業として成り立たせていく。外部の計算化学エンジンとのインターフェースや、化学構造式をもとにした物性推算機能などが用意されており、実用性も高い。8月末に米国コロラド州デンバーで開かれたアメリカ化学会(ACS)秋季大会に出展し、海外での普及にも力を注ぐ。
MolWorks3.1は、中小企業庁が実施している「異分野連携新事業分野開拓」(新連携)プログラムを活用して開発されたもので、すでに8月中ごろからダウンロード可能となっている。利用するためにはユーザー登録をし、無償ライセンスを入手する必要がある。分子の組み立て、計算、結果表示と、分子設計支援ソフトとして一通りの機能を備えている。
現在提供中のプラグインは、「3次元グラフィックスプラグイン」、「物性推算プラグイン」、「ニューラルネットワーク学習プラグイン」−の3つ。来年には、クラウド環境に対応するための「グリッドプラグイン」や「ASPプラグイン」の提供も予定されている。
3次元グラフィックスプラグインには、外部の計算化学エンジンの計算結果を読み込んでグラフィック表示する機能があり、Gaussian03、Gaussian09、MOPAC6、MOPAC2009、WinGAMESS、PC-GAMESSに対応。価格は民間800ドル、教育機関300ドルとなっている。(価格は現時点での予定)
物性推算プラグインは、あらかじめ組み込まれたlogP推算モデルを利用した物性予測機能を利用するためのもの。ユーザーが自分でモデルづくりに取り組みたい場合は、ニューラルネットワーク学習プラグインを利用できる。画面上で対話式にモデル作成を行うことが可能。ニューラルネットを利用したモデル作成のための費用は、年間ライセンスで1万ドル(民間)および3,000ドル(教育機関)を予定している。
これらのプラグインは、年内はすべて無償で提供することにしている。
また同社では、ダウンロード開始直後のタイミングで、ACS秋季大会での展示・実演も行った。ブースに立ち寄った地元の高校の教職員から、教育用途で使ってみたいなどの声があったという。ACS出展で得た要望を踏まえ、さらに安価な教育用ライセンスの提供や、iPadなどのスレート端末(タブレット端末)への移植など、今後さまざまなアイデアを検討していく。