富士通が「SCIGRESS」の最新バージョン2.3をリリース

カーボンナノチューブ構造を手早く作成、計算手法も強化

 2011.07.16−富士通は、計算化学統合プラットホーム「SCIGRESS」を機能強化し、最新バージョン2.3としてこのほどリリースした。金属・セラミックス、触媒、半導体・薄膜、高分子・液晶、電池など、材料科学分野を対象とした自社開発の分子モデリングシステムで、今回の最新版ではカーボンナノチューブビルダーの搭載や計算化学エンジンの機能強化などを図った。

 SCIGRESSは、毎年6月と12月を目標にバージョンアップが行われており、2011年12月にバージョン2.4、2012年6月に2.5、同12月に2.6というところまでリリース計画が定まっている。その後については、現在のところ、2013年にバージョン3がリリースされる予定となっている。

 さて、今回の最新版2.3だが、大きな機能強化としてカーボンナノチューブビルダーが搭載された。最も基本的な単層ナノチューブの幾何学構造を決定するカイラル指数(n,m)を指定することでナノチューブ構造を任意の大きさで一気に生成することが可能。この方法で3種類ある幾何学構造を簡単にモデル化できる。例えば、アームチェア型は(10,10)、ジグザグ型は(9,0)、カイラル型なら(10,5)などと指定する。モデリングの手間が大幅に削減される。

 一方、計算化学エンジンの強化としては、まず密度汎関数法(DFT)の「DGauss」が基本パッケージにバンドルされた。このプラグラムはSCIGRESSの前身であるCAChe時代にオプションとして用意されていたもので、すでにプログラムの改善が停止しているため一旦は提供をやめたものだったが、要望が高いので今回復活することになった。

 有機化合物、無機化合物、有機金属化合物を対象にほとんどすべての元素を扱うことができる。構造最適化、遷移状態探索、赤外スペクトル、ラマンスペクトル、13CNMRケミカルシフト、静電ポテンシャルなどの計算が可能だが、プログラム自体は古いままであるため、DFTの入門用として使ってもらいたいということだ。

 そのほか、分子動力学計算(MD)の強化として電気陰性度均等化法(EEM)、分子軌道法計算(MO)の強化として新ハミルトニアンであるRM1法の採用などが行われた。

 また、新規プロジェクト作成時のウィザードによるガイド機能や、分子計算実行時の簡易的なプロシージャ―選択など、操作性も細かく見直されているという。

 なお、次期のバージョン2.4では、旧BioMedCACheに搭載されていたドッキングエンジン「FastDock」の復活、MD計算用可変電荷ポテンシャルの追加、Gaussianの基底関数の追加サポート、PHASEによる第一原理MD計算の結果表示、高品位グラフィックス表示−などの機能強化が予定されている。


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