米エヌビディアがGaussianのGPGPU対応に着手

ガウシアンらと3社共同プロジェクト、量子化学計算を高速化へ

 2011.09.09−米エヌビディアは、米ガウシアンおよび米PGI(ザ・ポートランドグループ)と共同して、量子化学計算プログラム「Gaussian」のGPU(グラフィックプロセッサー)対応を進めると発表した。ハード、コンパイラー、アプリケーションの3ベンダーが協力することで完成度の高いソリューションが実現すると期待される。

 物質の電子状態を解析できる「Gaussian」は、実験では得られにくい分子の特性や化学反応に関するシミュレーションが行えることが特徴で、計算化学ソフトの定番として世界中で広く使用されている。ただ、計算量が膨大になるために、ユーザーが利用できるコンピューター資源の量によって、実際の計算での制約が大きくなることが問題だった。

 一方、エヌビディアの“CUDA並列コンピューティングアーキテクチャー”を組み込んだGPU「Tesla」は、科学技術計算を中心としたハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野で注目されており、世界のスーパーコンピューターのトップ5のうちの3台に採用されているほど。画像処理、流体力学、地震解析などのアプリケーションを大幅に高速化する能力を持っている。

 PGIのコンパイラーとツールも、HPC分野で実績があり、信頼されている製品。今回のプロジェクトでは、高性能なFORTRANコンパイラーの開発を担当するが、使いやすさを重視し、計算集約型のさまざまなアプリケーションに幅広く応用できる製品に仕上げたいという。

 今回のプロジェクトを通して開発される新しい「Gaussian」は、TeslaとPGIコンパイラーをサポートし、複雑でデータ集約的な計算の処理に必要とされる時間とコストを削減できるパワフルなシステムになる予定。いまのところリリース時期は未定だが、広くユーザーの関心を集めそうだ。


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