カスペルスキーがコンシューマー向けセキュリティソフト2012年版
クラウドに振る舞い解析技術を初実装、マーケティング重視でシェア向上へ
2011.09.07−カスペルスキーは6日、セキュリティソフトの最新版「カスペルスキー2012 マルチプラットホームセキュリティ」を9日から発売すると発表した。パソコンのWindowsとマッキントッシュに加え、スマートフォンのアンドロイドにも対応できることが特徴で、3台のデバイスにインストールできる年間ライセンスは7,140円。来日した本社のユージン・カスペルスキーCEOは、「当社は世界3位のシェアを持つセキュリティベンダーだが、日本市場では立ち遅れている。技術の強みに加え、今後はマーケティング面にも力を注ぎたい」として、AKB48の峯岸みなみさんを起用したキャンペーンを開始することも明らかにした。
カスペルスキーCEOは、「インターネットの脅威は日々高まっており、最近は高学歴の人がサイバー犯罪に走る傾向が強まっている。スマートフォンやタブレットPCもターゲットにされており、感染を未然に食い止める技術が重要になっている」と強調した。
今回の「カスペルスキー2012 マルチプラットホームセキュリティ」は、新しい技術を組み込んだ次世代セキュリティ製品の第1弾に当たるという。同社の説明によると、ネットワークの防御はマルウエアをいかに迅速に発見できるか、またそれを発見するまでの未知の段階での脅威にどう対抗するかの2つのポイントが重要になる。その意味で、近年のセキュリティソフトは、ローカル側の技術で未知の脅威への対応を図る一方、脅威の発見を早めるためにクラウド技術を利用するかたちで進歩してきた。
これに対し、今回の新製品はクラウドとローカルの“ハイブリッドプロテクション”で完全防御を実現したことが特徴。具体的にはビヘイビア(振る舞い)ベースの保護機能を初めてクラウド上に実装した。マルウエアの動作パターンをクラウドに登録しておくことにより、発生したばかりで知られていない脅威に対しても有効な対応を取ることが可能。ダウンロードするごとに形を変えるポリモフィック型のマルウエアに効果がある。クラウドベースであるため、常に最新の動作パターンを分析してクラウド上に定義しておけることが利点であり、新種のマルウエアを検知できない場合でも動作パターンによって感染を防止できる。
また、ウェブブラウジングに関しても、サイトにアクセスする前にローカル側の悪意あるサイトのデータベースでチェックしたあと、クラウド上のブラックリストを参照、さらに危険なリンクに特徴的な属性がないかどうかヒューリスティック分析を行う。そのほか、アンチスパムに関しても、今回からローカルに加えてクラウドベースの対策が組み込まれた。
製品ラインアップは、「マルチプラットホームセキュリティ」が3台までの1年ライセンスで7,140円、同2年ライセンスは1万2,075円、3台1年の乗換優待版(限定5万本)は4,095円、1台1年のツインパックが7,140円。そのほかに個別のプラットホーム向けのアンチウイルスパッケージも用意されている。現在、アンドロイド向けはスマートフォン専用となっているが、のちにタブレットPC対応版も発売する。そちらは別製品となるが、マルチプラットホーム版の購入者には無償で使用権が与えられる。
カスペルスキーCEOは、「日本ではセキュリティというと、赤(ウイルスバスター)や黄色(ノートン)のイメージが強いようだが、今後はぜひ(カスペルスキーのイメージカラーである)緑色が定着するようにがんばりたい」とし、AKB48の峯岸みなみさんを起用したキャンペーンを紹介した。ウイルスによってAKB48メンバーの顔がすべて峯岸さんに書き換えられるという筋立てで、9日からテレビコマーシャルや駅貼りポスターなどが展開されるほか、製品購入者にDVDなどが当たるキャンペーンも行われる。