日本マイクロソフトが次世代クラウドサービス「Office 365」正式スタート

オフィスアプリを月額制で利用、パートナーによる付加価値サービスも提供

 2011.07.01−日本マイクロソフトは6月29日、公開ベータを実施してきた次世代クラウドサービス「Microsoft Office 365」(オフィス365)を正式版として提供開始したと発表した。オフィスアプリケーションをサブスクリプション方式で利用できることに加え、電子メールやコミュニケーション、情報共有などのためのビジネスソリューションをクラウドベースでいつでもどこからでも活用することができる。料金は、SMB向けのプランPが1ユーザー月額600円から、大企業にも対応できるプランEは同1,000円から。オフィス365は20ヵ国語に対応し、世界の40の国や地域でサービスが開始されているが、国内ではNTTコミュニケーションズ、大塚商会、リコージャパンの3社を「ワンストップクラウドパートナー」として事業展開していく。

 オフィス365は、クラウド型のコラボレーションソリューションとして提供されているBPOS(ビジネス・プロダクティビティ・オンライン・スイート)を発展させた次世代サービスで(現行BPOSからは2012年9月が移行期限とされている)、電子メール、予定表、ファイル共有、ポータル、インスタントメッセージ、オンライン会議などの機能を、使い慣れたオフィスアプリケーションと統合して利用できるようにするもの。この1年間で、BPOS導入企業数は国内で5倍に成長(世界では4倍)しており、BPOSパートナーも2009年のスタート時点では30社だったのが、いまでは700社を超えるまでに拡大しているという。

 今回のオフィス365は、2010年10月から限定ベータでのサービスを開始し、今年4月からは公開ベータに移行、ユーザーおよびパートナーと協力して検証しながら開発を進めてきた。早期導入企業として、トヨタ紡織、毎日放送、三菱ガス化学などがプランEで導入済み。プランPの導入例としては、メディアワークス・ブルームおよび中家製作所などがある。

 サービスを構成するシステムとしては、ワード/エクセルをはじめとしたオフィスアプリケーションを月額制で使用できる「Office Professional Plus」、電子メールや予定表などのメッセージングシステムを提供する「Exchange Online」、社内ポータルなどの機能を持つ情報共有環境を実現する「SharePoint Online」、在籍情報(プレゼンス)やインスタントメッセージなどの機能を持つ「Lync Online」から構成される。

 オフィスアプリは、ブラウザーの中でクラウドベースでも、PCにインストールしたローカル環境でも利用することができるが、ブラウザー上でもローカルと変わらない見た目と操作性を実現していることが特徴。1ユーザーライセンスで5台までの端末で使用することができ、端末の性能にもよるがスマートフォンでファイルを閲覧したり編集したりすることも可能。

 オフィス内と変わらない業務を遠隔地や在宅で遂行するなど、企業として多様なワークスタイルを実現できるほか、社内のサーバーなどをクラウドに移行させることにより、事業継続性の向上ならびに電力消費量削減に寄与するといったメリットがある。また、中小企業にとっては、初期投資やIT管理コストを大幅に抑えて大企業と同等のビジネスツールを活用できることも大きな導入効果だという。

 とくに、SMBユーザーの実際の声として、クラウドは国内ベンダーに導入・サポートしてほしいという意見が全体の9割近くを占めたことから、「ワンストップクラウドパートナー」制度が設けられた。現在、3社がこのパートナーとして活動し、オフィス365にそれぞれの得意とする付加価値サービスやネットワーク回線、インターネット接続、導入サポートなどを組み合わせたサービスを展開していく。

 また今回、日本だけの限定キャンペーンとして、「事業継続計画(BCP)簡易アセスメント」(8月末まで)と、「365円クーポンでビジネス拡大支援」(7月末まで)を実施する。前者はアビームコンサルティングと協力して提供するもので、オンラインの質問に答えることで自社のBCPへの対応度や課題を確認することができる。後者は、GMOくまポンが運営する共同購入型クーポンサイト「くまポン」に一定枚数のクーポンを販売価格365円で掲載する権利が抽選で30社に与えられるというもの。手数料や通常のクーポンとの差額をマイクロソフトが負担する。

Office365の価格と機能

管理機能を簡略化し、最大50人までの小規模向け「プランP」は600円から、店舗や工場向けに機能を絞った「プランK」は401円から。

プラン名称と主な機能 E1 E2 E3 E4
1人当たり月額(249人まで) 1,000円 1,600円 2,550円 2,860円
高度な管理機能、Active Directoryの統合、24時間体制のサポート
ExchangeOnlineによるPCのOutlook、ウェブ、モバイルデバイスからのアクセス。メール。予定表、アーカイブを含む
SharePointOnlineによるドキュメントと情報を共有するサイト
LyncOnlineによるインスタントメッセージング、プレゼンス、オンライン会議
電子メールとサイトのための高性能のウイルス対策と迷惑メール対策
オンプレミスのExchangeサーバー、SharePointサーバー、Lyncサーバーにアクセスするライセンス権限
OfficeWebAppsによるオンラインでのドキュメント表示機能と基本的な編集機能   
OfficeProfessionalPlusによる全機能搭載のオフィス生産性アプリケーション    
多機能なフォーム、データ視覚化、データベースの発行など高度な機能を備えたSharePointOnlineによるサイト    
ExchangeOnlineによる高度なアーカイブ機能、電子メールの無制限の保存領域、およびホストされたボイスメール    
オンプレミスのLyncサーバーによる社内の完全なエンタープライズボイス機能      


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