2011冬CCS特集:富士通九州システムズ

自社製品海外市場で手応え、薬物の相互作用を予測

 2011.12.07−富士通九州システムズ(FJQS)は、薬物相互作用シミュレーションソフト「ADMEWORKS DDIシミュレーター」で海外市場に攻勢をかける。6月にシアトルで開かれた国際薬物相互作用学会(DDI)に続き、10月にはアトランタの国際薬物動態学会(ISSX)に出展し、セミナーを開催するなどした結果、大きな手応えを得たという。具体的な評価の要望も寄せられ、来年に向けて期待がふくらんでいる。

 DDIシミュレーターは、NPO法人であるHAB研究機構の薬物相互作用データベースの開発成果をもとに、機能を追加し操作性を高めて製品化したもの。正確な定量的評価を行うため、生理学的薬物動態(PBPK)モデルを実装しており、このほどリリースされたバージョン2での機能強化により、代謝酵素阻害(競合阻害およびMBI)とトランスポーター阻害による薬物間相互作用が予測できるようになった。この2つを同時に考慮したシミュレーションも可能。

 また、データベースも強化され、生体内薬物相互作用試験における米食品医薬品局(FDA)推奨の薬物データを追加した。主要なCYP分子種すべてについて、阻害薬と被相互作用薬の両面で化合物を評価することができる。

 東京大学大学院薬学系研究科の杉山雄一教授の監修のもとに開発されており、米国でのセミナーも杉山教授の講演で多くの聴講者を集めた。

 一方、化合物の薬理活性・毒性・薬物動態などを予測する「ADMEWORKSプレディクター」と「ADMEWORKSモデルビルダー」も知名度が高く、最近では医薬品だけでなく化粧品分野でも注目されつつある。富士通が扱っている加ACD社の製品にも物性予測ソフトが含まれているが、うまく補完し合う関係にあり、両方の製品を扱うメリットも出ているということだ。

 そのほか、パートナーの菱化システムが扱っている加CCGの「MOE」や米マテリアルズデザインの「MedeA」といったモデリングシステムに、富士通製のPCクラスターを組み合わせたシステム販売にも力を入れている。


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