2011冬CCS特集:オープンアイ・サイエンティフィック・ソフトウェア

独自技術・自社開発で成長、GPUで計算速度千倍

 2011.12.07−オープンアイ・サイエンティフィック・ソフトウェアは、独自の技術で創薬支援ソリューションを開発。分子モデリングからケムインフォマティクスまで豊富な製品群をすべて自社開発でラインアップしている。サイエンス志向が同社の基本姿勢であり、国内のユーザーに対しても日本法人を通して世界と同じレベルのサポートやトレーニングを提供するとともに、企業や大学の垣根を越えて研究者間の交流を活性化する活動にも取り組んでいる。

 オープンアイ製品は、研究にそのまま利用できるアプリケーションと、プログラム部品としてのツールキットに大きく分かれる。すべてのアプリケーションはツールキットを使用して自社開発されており、不具合修正や新機能の要望などに迅速に対応できることが特徴。ツールキットを活用してカスタム開発に取り組むユーザーも増えている。

 最近、新しいアプリケーションもリリースされたが、とくに「FastROCS」は分子の形状をベースにした化合物スクリーニングをGPU(グラフィックプロセッサー)を使って超高速に大量処理することが可能。本社に評価用の設備も用意しており、エヌビディアのTeslaを4台使用した環境で計算速度が1,000倍に高速化したという。1日かかっていたような解析が数分で終了するようになるため、研究のやり方自体が大きく変わる可能性もあるとして注目されている。同社では、デモや評価の依頼にも積極的に応じていく。

 また、リガンド分子の結合時に水の影響を考慮できる「SZMAP」、結合部位におけるリガンドの状態を予測できる「POSIT」、分子の3次元特性を2次元で表現して理解を助ける「Graphemeツールキット」も新製品として注目されているという。

 一方、恒例となりつつある研究会「JCUP」の第3回を来年の6月7日と8日に開催する日程を決めた。ユーザー会ではなく研究会という位置づけで、内容も製品の宣伝ではなく、内外の技術成果や研究発表を中心としたもの。オープンアイ製品を使っていない研究者でも気軽に参加できるため、この分野の研究者同士の交流の機会として積極的に活用してほしいということだ。


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