2011冬CCS特集:菱化システム

多様な研究開発領域を網羅、ELNなど拡大に期待

 2011.12.07−菱化システムは、材料科学および生命科学分野のモデリング/シミュレーション、また電子実験ノートやGMP対応業務システムまで、研究開発の幅広い領域を網羅する多様なシステム製品群を揃えている。国内で最も古いCCSベンダーの1社であり、技術サポートに定評がある。

 分子モデリング製品は、生命科学系で加CCGの「MOE」、独バイオソルヴアイティーの創薬支援ツール、材料科学系では米マテリアルズデザインの「MedeA」、仏サイエノミクスの「SciMAPS」、蘭シュルギの「CULGI」などが代表的な製品。医薬用途ではこのほかに化学情報や生物情報の管理やデータ解析を行うソフトウエアを多数ラインアップしており、さまざまなユーザーニーズに応えることが可能。

 なかでも主力の「MOE」は今月に新バージョンがリリースされ、さらなる機能強化が図られる。とくに、ターゲットたん白質の結合ポケットにおける水分子の配置を予測する3D-RISM法の採用が注目されているようだ。

 MOEは国内の多くの製薬企業に導入されているが、同社はアジア全域での販売権も持っており、韓国、台湾、中国、シンガポール、マレーシアで実績が出てきている。最近はインドネシアからも引き合いがある。

 また、メディシナルケミストのための化学データ可視化・解析ツール「CIMPL」(米シンプルソフト)も低価格で操作性が良いために人気が高まっている。欧州のEMBLが整備している生物活性に関与する低分子およびたん白質データベースが提供され、社内で自由に活用できることも大きな理由だという。

 英IDBSの電子実験ノートは、創薬だけでなく材料・化学系の研究用途にも活用できるため、同社としても大型製品に育てたい考え。とくに、スプレッドシート機能の「Quantrixモデラー」は、多次元データ分析が自由自在に行えるツールであり、幅広い応用が考えられるということだ。

 一方、材料系のシミュレーションは、ナノスケールの現象の解析が実際に行えるようになってきたことで、太陽電池や有機ELなどの現実の開発テーマへの適用が期待されており、今後大きく飛躍する可能性が高まっている。


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