FJQSが米国で薬物相互作用予測ソフトのセミナー第2弾

大手製薬からトライアル申し込みも、販路拡大にも着手

 2011.12.17−富士通九州システムズ(FJQS)は、自社開発した薬物相互作用シミュレーションソフト「ADMEWORKS DDI Simulator」(DDIシミュレーター)の欧米での普及を目指すため、10月17−19日にかけて米国アトランタで行われた国際薬物動態学会(ISSX)に出展、20日にはセミナーも開催した。6月にシアトルで開かれた国際薬物相互作用学会(DDI)に続いての展示・セミナーで、大手製薬会社からトライアルの申し込みがあるなど大きな手応えを得たという。来年度から本格的に海外市場に進出する計画で、現地での販売ルートづくりにも着手している。

 薬物同士の相互作用は副作用を増大させる場合があり、近年にこの問題で販売中止に追い込まれた医薬品が多かったことから、薬物間相互作用(DDI)の評価に注目が集まっている。とくに、開発中の新薬が既存の薬物の働きを阻害したり、逆に他の薬物によって望ましくない相互作用を受けたりする可能性があるかどうかを、あらかじめ考察しておくことが重要だといわれている。

 同社のDDIシミュレーターは、NPO法人であるHAB研究機構の薬物相互作用データベースの開発成果をもとに、機能を追加し操作性を高めて製品化したもの。正確な定量的評価を行うため、生理学的薬物動態(PBPK)モデルを実装しており、このほどリリースされたバージョン2での機能強化により、代謝酵素阻害(競合阻害およびMBI)とトランスポーター阻害による薬物間相互作用が予測できるようになった。この2つを同時に考慮したシミュレーションも可能。

 予測のもとになるデータベースも充実させており、生体内薬物相互作用試験における米食品医薬品局(FDA)推奨の薬物データを追加した。これにより、主要なCYP分子種すべてについて、阻害薬と被相互作用薬の両面で化合物を評価することができるようになった。データも、ただ文献から写すのではなく、パラメーター計算を行い信頼性の高いデータだけを登録したという。

 今回のセミナーでは、システムの監修者である東京大学大学院薬学系研究科の杉山雄一教授が講演し、国際的な知名度で多くの聴衆を集めた。また、展示会でも3日間ともブースに訪れた熱心な来場者がいたほか、大手製薬会社の研究者から具体的にシステムを評価したいとの申し入れもあったという。

 こうしたことから、同社ではDDIシミュレーターの海外での販売に手応えを得、来年度から本格的に海外市場に挑戦することにしたもの。同社には開発部隊を兼ねる100%子会社「FQSポーランド」があるが、そのルートを販路に活用するとともに、米国ではさらに新たな代理店を設ける方向で検討に入っている。


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