SAS Institute Japanがライスサイエンス向け製品の最新版を提供開始

ゲノム研究向けと臨床試験評価向け、探索的にデータ分析

 2012.01.26−SAS Institute Japan は、ライフサイエンス業界向けの統計解析・データマイニングソフト「JMP Genomics」と「JMP Clinical」の新バージョンを提供開始したと発表した。それぞれ個別の機能強化が施されていることに加え、SASの分析ソリューションである「SAS Analytics」とグラフ機能を動的にリンクさせることによって、研究成果の全体像を効果的に把握できるという特徴がある。

 「JMP Genomics」は、ゲノム解析における大容量データの探索と知識の発見をサポートするソリューション。変異の解析、発現パターンの検出、バイオマーカープロファイルの発見、解析ワークフローへのパスウェイ情報の取り込みなどの用途で実績がある。

 今回の最新バージョン5.1では、リンケージマップを作成・可視化するツールが追加された。これは、米国務省農業研究サービス(USDA-ARS)の要請により開発されたもので、独自のアルゴリズムを使ってマーカーをゲノムに沿って順序付けする機能を持つ。

 また、遺伝子座位やパスウェイ上の希少な変異体を分析・要約する新しい手法を搭載したほか、計数データを標準化・解析するルーチンも組み込まれているという。

 一方、「JMP Clinical」は、臨床試験中の安全性審査の視覚化と効率化により、医薬品開発のプロセスを短縮するソリューション。臨床試験評価のためのJMPと、製薬業界の標準的なツールであるSASの強みを生かし、CDISC(Clinical Data Interchange Standards Consortium)データから米食品医薬品局(FDA)に提出するレポートを作成できる。

 最新のバージョン3.1では、臨床試験中に重篤な有害事象を経験した患者ごとのナラティブ(Narrative)を自動作成する機能が搭載された。これらのナラティブは治験総括報告書に添付できるように、リッチテキスト形式のファイルとして出力される。また、有害事象を過大報告するリスクを軽減するために、Double False Discovery Rateなどの多重比較の手法を利用できるようにした。

 なお、JMPは探索的データ分析ソフトとして、製造業の品質管理や企画開発部門などで多用されており、医師や大学の研究者などにもユーザーが多い。マウスによる対話操作を基本とし、統計量とともに表示されるグラフとテーブルを用いて、視覚的にデータのパターンを見出したり、外れ値を識別したり、モデルを当てはめたりすることが得意。ユーザーが指定する変数の尺度や役割に基づいて、自動的に適切な分析手法を選択・実行できるようになっている。2001年から日本語版が発売されているという。

<関連リンク>

SAS Institute Japan(JMPジャパン事業部のサイト)
http://www.jmp.com/japan/


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