2012年夏CCS特集:物質・材料研究機構
材料DBで世界的な存在感、除染に役立つデータも
2012.06.27−物質・材料研究機構(NIMS)の材料情報ステーションは、世界最大級の「NIMS物質・材料データベース MatNavi」をインターネット上で運営・公開している。アジアを中心に材料データベース(DB)の世界を牽引する役割も果たしており、ステーションの使命はますます重要になっている。
「MatNavi」は高分子関係の基礎物性データを集めた「PoLyInfo」、同じく無機材料の「AtomWork」、金属材料の「Kinzoku」を中心に、国内で長年蓄積されてきた20種近くのDBを維持・管理・更新しているもの。
昨年末には、福島第一原発事故に対応し、放射性物質の除去・回収技術のためのDBを新たに作成し公開した。日本粘土学会の主要メンバーである大学・研究機関の協力を得て、ゼオライト系や層状ケイ酸塩系など各種無機材料の放射性物質に対する吸着特性をあらためて実験・測定したデータ集となっている。徐々にデータを追加しているが、大きな反響があるという。
一方、「MatNavi」全体としては登録ユーザー数が7万人に迫っており、月間アクセス数も150万という高水準に達している。海外からの利用者も多いが、日本の企業や機関での活用をさらに促したいところ。NIMSでは外部へのライセンス供与も始めており、英グランタ社がクリープと疲労のデータを自社のDBサービス「GRANTA MI」に組み込んで正式提供を始める。国内からもこのような要望をどしどし寄せてもらいたいということだ。
さらに、今年の4月にAMDC(アジア材料DB委員会)のシンポジウムが沖縄で開催され、10カ国から約100人の参加者を集めた。緒形俊夫ステーション長がAMDCの新会長に就任したが、国際協調をさらに推進するとともに、材料DBでの日本の優位性を一段と高めたいとしている。