2012年夏CCS特集:QuantumWise Japan
量子力学用いデバイス解析、東京理科大と共同研究
2012.06.27−デンマークを本社とするQuantumWise Japan(クオンタムワイズ)は、昨年9月に全額出資で設立された日本法人で、東京理科大学と共同研究プロジェクトを開始するなど、国内での事業戦略を活発化させている。年明けからは販売も好調で、日本法人は早くも軌道に乗りつつある。
同社は量子力学的手法で電子デバイスのナノスケールでの特性を予測するシミュレーション技術を持っている。具体的な製品として、密度汎関数法や半経験的方法に基づく計算エンジンの「Atomistixツールキット」と、モデル構築から計算の実行、結果の表示までを行うGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)ソフト「Virtual NanoLab」がある。
電子デバイスの微細化が進み、設計時に量子力学的な影響を考慮する必要が高まったため、アカデミックだけでなく民間分野でも導入が進んできている。
製品面では、最新版が4月にリリースされたばかり。とくに、モデルビルダーが強化され、有機物と金属などの2種類の界面を自動的にフィットさせる機能を新たに搭載、手早く効率的にモデル構築作業を行うことができるようになった。また、計算機能としては、化学反応の遷移状態を解析するNEB(ナッジド・エラスティック・バンド)法を機能強化し、大幅なスピードアップを図った。自動車排気ガス浄化用など貴金属を利用した環境触媒の反応解析・触媒設計に役立つとして注目されている。
一方、東京理科大学との共同研究は工学部の山本貴博研究室と行われているもので、最先端の研究成果をソフトに組み込むことを目指している。まずは3月の日本物理学会で「グラフェンナノリボンの熱電変換効率のサイズ効果」と題して学会発表が行われた。論文も準備中だという。