2012年夏CCS特集:菱化システム
生命系から材料系まで網羅、新規手法に注目集まる
2012.06.27−菱化システムは、生命科学と材料科学の両分野で豊富な製品群を揃えている。三菱ケミカルホールディングスグループの一員としての特異なノウハウを持ち、海外の製品を単に販売するだけでなく、開発力に裏打ちされたサポートで豊富な実績を築いている。
生命科学系では加CCGの「MOE」が主力。とくに、最新バージョンで実装された“3D-RISM法”が注目されている。これは、たん白質と薬物分子との結合領域における水分子の配置を予測する手法で、両者の相互作用に水がどのようにかかわっているかなどを視覚的に考察することができる。
MOE自体は大手の製薬企業にはほぼ導入されているため、今後は中堅企業や大学・官公庁への普及に力を入れていく。購入しやすい価格設定なども行い、需要を喚起する。また、アジア市場も同社がカバーしているが、最近では初めて中国の民間企業(創薬ベンチャー)への導入に成功した。大学や公的機関での実績は複数の国に広がっており、今後も期待が大きい。
一方、材料科学分野は蘭SCMの「ADF」が有機系電子材料の設計で注目されている。相対論の効果を考慮した物性計算、有機結晶中の電子移動度の計算などが可能。材料分野の実験研究者が関心を示しているが、複雑な量子化学計算の実行や解析に当たっては、菱化システムの専門的なコンサルティング・サポートが大きな役割を果たしているようだ。
また、米マテリアルデザインの「MedeA」には計算手順をフローチャートでわかりやすくあらわす機能が搭載されるなど、使いやすさにますます磨きがかかってきた。これも、材料設計の新しいユーザーに対する配慮ということになるだろう。
さらに、英IDBSの電子実験ノートの営業活動も強化する。実験に関係するあらゆる情報を統合管理する仕組みが提供されるため、製薬業に加えて幅広い業種の研究開発に適用できることが特徴だ。