2012年夏CCS特集:シュレーディンガー
コンサル重視など基盤整備、クラウド対応を実現へ
2012.06.27−シュレーディンガーの日本法人は、昨年10月に直販体制に移行して以来、着々と事業基盤を整備。今年の6月からはトレーニングルームを備えた新オフィスに移転した。製品面でも、今年は新製品が続々と登場する予定だという。
同社は、日本法人設立を機に、ソフトウエアの販売だけでなく、コンサルティングを重視する方針を打ち出しており、実際に引き合いも出はじめている。従来は手薄だった大学向けにも、キャンペーンを通してアプローチを開始している。
同社の製品は、標的たん白質の立体構造に基づいて薬物を設計するストラクチャーベースと、低分子側に注目して活性の高い薬物構造の創出を目指すリガンドベースの両方のツールを幅広く網羅したスイートであることが強み。未公開企業だが資金力は潤沢で、毎年ほぼすべての製品をバージョンアップする。
今年も4月に最新のスイートがリリースされた。代表格の製品であるたん白質立体構造予測の「Prime」、ドッキング解析を行う「Glide」の機能強化が目立つ。また、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の改善で操作性が向上していることに加え、ケムインフォマティクスツールの「Canvas」も注目されているようだ。
さらに、今回のバージョンアップでほとんどの製品がクラウドに対応したことも特筆される。データセンターとしてアマゾン・ドットコムと提携しており、ユーザーは手元のパソコンなどからクラウド上で計算ジョブを実行させることができる。時間単位の課金で利用できるため、大量のドッキング解析を短時間で実施したいといった用途に最適である。
そのほか、完全な新製品として、たん白質間の相互作用会解析や抗体モデリングなどを行う機能を統合した「BioLuminate」が近く提供開始される。同社初の包括的な生物系モデリングパッケージとして製品化されており、内外での評価が注目される。