2012年夏CCS特集:Transition State Technology
山口大学発のノウハウ提供、低価格計算サービスも
2012.06.27−Transition State Technology(TSテクノロジー)は、山口大学工学部の堀憲次学部長の研究室で開発された成果を母体にした大学発ベンチャーで、独自のCCS技術を活用した受託研究・受託解析、パッケージソフトの開発・販売などを行っている。旗揚げして丸3年が経過したが、今年は新製品・新サービスの提供に力を入れる。
同社の受託研究は計算化学を活用した広い範囲に及ぶが、この3年で50件以上をこなしてきている。その結果に顧客が満足していることは、リピートオーダーが増えていることからも理解できる。例えば、触媒の反応メカニズムを詳細に解析し、その知見を新しい触媒開発に生かしたいなどの要望に応えてきたという。
さらに今回、計算だけに的を絞った「理論分析クイックオーダー」も開始する。化学物質の物性や反応性などを示すさまざまな理論値を、物質1個単位から手軽に得ることができるというサービスで、低価格(1件3万円から)で即日実施するというもの。計算化学に不慣れな企業などでは、計算自体をどのように実施するかや、計算結果をどのように分析するかなどで悩むケースもある。実際にニーズがあって、サービスを始めることにした。
一方、新しいパッケージソフトとして、計算結果を手軽にグラフ化する「EasyDiagram」を製品化した。テキストの出力ファイルから該当する数値を自動的に抽出し、単位変換も行って、エネルギーダイアグラムを描画する機能を持つ。報告書や論文の作成に便利で、同社の社内で1年以上利用してきたソフトを製品化した。
一方、堀研究室との連携では、高精度な量子化学計算結果を集めた「QMDB」の構築を進めており、これも公開が待たれている。