2012年夏CCS特集:ウェイブファンクション

教育現場に計算化学を浸透、iPad版も製品化へ

 2012.06.27−ウェイブファンクションは、分子モデリングソフトの利用者層のさらなる拡大を図る。同社の「Spartan '10」には、計算化学をだれにでも優しく利用できるようにした功績があり、大学や高専などでの教育用途での豊富な実績を持つ。それに加えて、現在アップルのiPad/iPhoneで稼働する「iSpartan」(仮称)の開発を進めている。新たな利用者を呼び起こすものと期待される。

 「iSpartan」は、今年の春に行われた米国化学会および日本化学会の展示会場で実際に動く製品がデモ公開され、大きな注目を集めた。 iPad/iPhone上で構造式をスケッチし、三次元モデルに変換、配座解析を行うことができるほか、クラウドサービスと連動して、データベースの検索や計算ジョブの投入を行うことも可能。

 Spartanには、実際に分子軌道計算を実行し、最大10通りの方法であらかじめ構造最適化した約15万件の低分子データベース「SMD」、約7万5,000分子のIRおよびNMRスペクトル計算値を登録したデータベース「SSPD」が用意されている。「iSpartan」に入力した構造がデータベース内に存在する場合には、その計算結果をダウンロードして、iPad/iPhoneでグラフィカルに閲覧することができる。

 ただ、具体的なビジネスモデルはまだ確定しておらず、正式な製品化の時期や価格などは未定。今後の情報に注目したい。

 一方、「Spartan '10」はバージョンアップから1年以上が経過し、プログラムの安定度も向上している。また、新しい機能として、和光純薬の試薬カタログがデータベースに追加された。実際に構造を発生させ、分子軌道計算をした結果を収録したもの。まずはプレリリース版としてウェブ経由でダウンロードできるようにするという。


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