2012年夏CCS特集:クロスアビリティ
高速計算で特異なノウハウ、初心者向けサービスも
2012.06.27−クロスアビリティは、2008年1月に設立された独立系ソフトベンダーで、独自の技術力を生かして計算科学系事業とセンサーネットワーク事業を推進している。CCS関連では、スーパーコンピューター「京」に関連したプロジェクトにも加わっており、神戸に隣接した拠点を構え、「京」への移植・チューニングを行うサービスを提供するなど、小規模だが特異な存在感を示している。
同社は、「京」をはじめとするスパコンでCCSを利用するためのコンサルティングを実施するほか、「XA-CHEM-SUITE」の商品名でパッケージソフトも開発。主に、CPUやGPUの並列処理機能を引き出して量子化学計算を高速化するアドオンソフトなど、先鋭的な領域で実績をあげている。
小回りをきかせて顧客の要望に柔軟に対応できることも強みで、秋葉原に近い立地を生かして最新パーツで特殊なスペックのシミュレーション専用サーバーを組み上げたり、次世代シーケンサーやマイクロアレイの大規模データ解析を行ったりするなどの経験もあるという。
一方、新展開として取り組みをはじめたのが、ハード・ソフト・サービスをセットにした計算化学のエントリーパック。最新のノートPCにフリーの分子軌道法や分子動力学法の計算プログラムをインストールして提供するもので、月額3,000円で専門家が質問に答えるサポートサービスを付ける。
同社開発のアドオンも組み込まれているため、GPUによる高速化も簡単に体験することが可能。また、重い計算についてはVPN(バーチャルプライベートネットワーク)経由で同社のサーバー設備を利用できる「トライアルXAクラウドサービス」も提供していく予定だ。
さらに、技術提携しているテンキューブ研究所が開発した分子グラフィックソフト「Winmostar」については、同社が徐々に開発・販売を引き継いでいく話しが進んでいるという。