富士通九州システムズが「DDIシミュレーター」最新バージョン2.1をリリース

臨床結果をより再現、統合モデル化など機能強化

 2012.06.30−富士通九州システムズ(FJQS)は、薬物相互作用を予測する「ADMEWORKS DDI Simulator」(DDIシミュレーター)の最新バージョン2.1を7月末にリリースする。米食品医薬品局(FDA)のドラフトガイダンス(2012年2月版)に記載されている最新の薬物データをデータベースに追加するとともに、実際の臨床結果を反映するようにシミュレーション機能も大幅に強化した。昨年から海外での普及にも力を入れてきており、あらためて反響が期待される。

 DDIシミュレーターは、薬物を併用した際に薬効・副作用発現の変動を引き起こす薬物同士の相互作用を定量的に予測するソフト。体内動態パラメーターの情報に基づく生理学的薬物動態(PBPK)モデルを利用しているため、高精度であることが特徴。予測のもとになるデータベースには、今回の最新版で追加されたものを含め、FDAの薬物相互作用確認用薬物68種類のデータが登録されている。

 使用する予測モデルを選択し、薬物の組み合わせを指定したうえで、それぞれの薬物の投与方法を設計してシミュレーションを実行すると、その相互作用の程度を示し、血漿中濃度推移グラフを自動的に描画してくれる。

 今回の最新バージョン2.1では、これまでは独立に解析していた薬物代謝酵素の競合阻害とMBI(Mechanism-Based Inhibition)を同時に考慮する統合モデルが実現された。両方の阻害を持つ化合物についても、実際のヒト臨床結果を反映したシミュレーションを行うことが可能。

 また、薬物の代謝は肝臓と小腸で行われるが、これまでは小腸での代謝阻害を最大に考慮して補正するか、肝臓だけの代謝阻害で解析するかの両極端の選択肢しかなかった。今回は、小腸での代謝阻害を予測する機能が組み込まれており、より正確な薬物間相互作用予測ができるようになっている。(別図参照)

 さらに、投与設計についても、きめ細かく投与間隔と投与回数を指定できるようになり、実際の臨床での投与設計に基づいた実際的なシミュレーションが行える。

 DDIシミュレーターは、国際的にこの分野の研究をリードしている東京大学の杉山雄一教授(理化学研究所)の監修のもとに製品化されていることも特徴であり、昨年から米国で行われる関連の学会にも出展し、海外での普及に力を入れてきている。今年の6月11日にシアトルで開催された「DDI-2012」(国際薬物相互作用学会)では、杉山教授が講演したセミナーに製薬企業やCRO(医薬品開発支援機関)など30名近くが出席した。

 とくに、規制当局であるFDAからも2名の参加があった。今年、FDAは薬物相互作用評価におけるPBPKモデルの使用に関するガイダンスを出しており、同社としてもこれが普及のきっかけになればと期待しているという。米国には競合するソフトもあるが、低価格と杉山教授の知名度を生かして市場に食い込みたい考えだ。

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<関連リンク>:

富士通九州システムズ(ライフサイエンス/化学のページ)
http://jp.fujitsu.com/group/kyushu/services/lifescience/

富士通九州システムズ(DDIシミュレーターの製品紹介ページ)
http://jp.fujitsu.com/group/kyushu/services/lifescience/ddi-simulator/


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