米エヌビディアの最新“Kepler”GPUでMDシミュレーションがさらに加速

4個のGPUで世界記録塗り替え、AMBERとLAMMPSでベンチマーク

 2012.06.30−米NVIDIA(エヌビディア)は、最新の“Kepler”アーキテクチャーを採用した「Tesla K10 GPU」の新しいベンチマークを公表し、分子動力学法(MD)で際立ったパフォーマンスを確認したと発表した。大型のPCクラスターに匹敵する性能を数個のK10で達成しており、計算化学だけでなく、防衛、地震データ処理など、幅広い科学技術アプリケーションの進歩を促すと期待されている。

 Tesla K10のGPUユニット(2個のGPUを搭載)は、4.58テラFLOPS(単精度)、毎秒320GBのメモリー帯域幅を実現。最新のインテルの Sandy Bridge CPU(Xeon E5-2690)と比べて浮動小数点演算性能は12倍、メモリー帯域幅は6.4倍に達するという。

 今回のAMBERのベンチマークでは、4個のTesla K10 GPUで世界記録を塗り替えるほどのパフォーマンスが得られたという。これは、2万3,558原子からなる分子について、1日で89.44ナノ秒分のMDシミュレーションを実行したというもの。数年前であれば複数のラックにサーバーを満載していなければ達成できなかったほどの記録で、昨年に4個のTesla M2090(Fermiアーキテクチャーベースの最高性能GPU)が出した記録をも、当然ながら上回っている。

 MDでのシミュレーション時間は、ピコ秒オーダーからナノ秒オーダーに到達し始めたのが比較的最近の話であり、数ナノ秒の単位であってもシミュレーション時間を伸ばすことには大きなインパクトがある。生体高分子の複雑な挙動を研究するためにはミリ秒オーダーのシミュレーションが必要との声もあるが、十数台のTesla K10を集積すればそうした世界に手が届くようになる。

 また、同じMDソフトであるLAMMPSについても、優れたベンチマーク結果が出た。Tesla K10はTesla M2090に対して80%高い性能を示している。今回の性能は、x86 CPUを64個搭載したPCクラスターに相当する性能だという。

 なお、Tesla K10は近く正式に出荷開始される予定だ。

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<関連リンク>:

エヌビディア(Tesla製品紹介ページ)
http://www.nvidia.co.jp/object/tesla-supercomputing-solutions-jp.html

エヌビディア(Keplerアーキテクチャーの解説)
http://www.nvidia.co.jp/object/nvidia-kepler-jp.html

エヌビディア(Tesla K10 の仕様)
http://www.nvidia.co.jp/object/tesla-servers-jp.html

エヌビディア(GPUアプリケーションの紹介ページ)
http://www.nvidia.co.jp/object/gpu-applications-jp.html

米エヌビディア(GPUアプリケーションの紹介、データが新しい)
http://www.nvidia.com/object/gpu-applications.html

AMBER(GPUアクセラレーションサポートページ)
http://ambermd.org/gpus/

LAMMPS(トップページ)
http://lammps.sandia.gov/


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