米シミュレーションズプラスがインシリコ創薬手法で新マラリヤ薬

有望な2化合物を発見、ADMETリスク評価で設計効率向上

 2012.06.13−米シミュレーションズプラスは、CCS(コンピューターケミストリーシステム)を活用したインシリコ創薬で新規のマラリヤ治療薬の設計に成功した。実際に4つの化合物を合成し、うちの2つは既存の薬剤よりも良い特性を示したという。プロジェクトにかかった期間は7ヵ月ほど。同社では、CCSを活用することで医薬品の開発コストが大幅に削減されるため、発展途上国で問題になっている疾患に対して有効な対策になるとしている。

 今回のプロジェクトは、同社が12万ドルをかけて実施したもので、グラクソ・スミスクライン(GSK)が協力し、大規模なデータセットを提供した。自社開発のソフトウエアを活用し、「ADMETモデラー」でモデル構築、「MedChemスタジオ」でクラス分類、「ADMETプレディクター」で物性予測、「GastroPlus」で投薬シミュレーションなどを行い、有望な候補化合物を設計した。(設計手順は写真参照)

 とくに、ADMET(吸収・分布・代謝・排出、および毒性)予測が有効だったという。ウォルト・ウォルトスCEOは、「ADMETリスクでの評価は、一般的なリピンスキールールよりも多くの要素を考慮できる。実際、ADMETリスクの低いものが現実の医薬品になることが多い」と話す。

 GSKのデータを利用できたため、設計で1ヵ月、合成と評価に6ヵ月をかけただけ。とくに2つの化合物は、GSKが販売中の製品より望ましい特性が得られており、期待が大きいということだ。

 同社では今後、今回の成果を製薬企業にライセンス提供、あるいは製薬企業との共同研究に引き継ぐことにより、実用化に向けていきたいとしている。

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<関連リンク>:

シミュレーションズプラス(トップページ)
http://www.simulations-plus.com/

シミュレーションズプラス(分子設計フェーズが完了した時のプレスリリース)
http://www.simulations-plus.com/PressReleaseDetails.aspx?pID=309

ノーザンサイエンスコンサルティング(シミュレーションズプラスの国内代理店)
http://www.northernsc.co.jp/index.php


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