米アクセルリスが米イージスを現金3,000万ドルで買収
医薬品開発下流工程のソリューション拡充、コンプライアンス対応狙い
2012.11.01−米アクセルリスは、医薬品製造時の品質をリアルタイムに管理するソリューションを持つ米イージス・アナリティカル(本社・コロラド州、ロベルト・デシピオ社長兼CEO)を現金3,000万ドルで買収した。これは、医薬品研究開発の下流工程をカバーするための製品パートフォリオ拡大を狙ったもので、電子実験ノート、ラボ業務実行システム、電子記録、科学情報プラットホームの機能を持たせた「Accelrys Process Management and Compliance Suite」に組み込まれる。
イージス社のソフトウエア「Discoverant」は、製造、品質管理、および製品開発にともなうデータの集約、コンテキスト化、データ分析を行うことができる。製薬企業の品質管理部門または製造部門が、工程の見通しを立てて管理するための強力な道具となる。
アクセルリスの考えでは、とりわけコンプライアンスの観点でこうしたソリューションが重要。時代遅れの紙の実験ノートや独自ソフト、統一性のないソリューションを使用していたのでは、QbD(Quality by Design)をはじめとするICH(医薬品規制調和国際会議)の目標達成に苦しむことになり、製品開発から品質管理、製造までの全工程を通してコンプライアンスを守り、問題の発生を予防したり解決したりすることはできないという。
とくに、生物製剤開発の分野では外部委託が広がっており、研究から製造にまでかかわる外部パートナーや共同研究者が世界中に分散している状況においては、品質への妥協や法規制の違反、処理の遅滞、商品化コストの大幅な増加といったリスクにさらされることになるとしている。それを避けるためには、プロセスデータの可視化を進め、製品ライフサイクルを通してプロセスを理解しやすくするソリューションが不可欠だということだ。
このような観点で行われたのが今回の買収であり、買収金額は3,000万ドル。イージスの主要な経営陣および従業員の雇用を継続することも定められている。
日本においては、CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)が昨年、イージスと代理店契約を締結しており、「Discoverant」を国内で販売・サポートしている。CTCLSは、かねてアクセルリスの販売パートナーであるため、今回の買収による国内市場への影響はほとんどないと思われる。
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<関連リンク>:
米アクセルリス(トップページ)
http://accelrys.com
米イージス(トップページ)
http://www.aegiscorp.com
CCSnews(CTCLSがイージスと代理店契約をした際の記事)
http://homepage2.nifty.com/ccsnews2/2011/2q/2011_2Qctclsaegisdiscoverant.htm