2012冬CCS特集:シュレーディンガー
創薬支援系を総合サポート、クラウド環境でも実績
2012.12.06−シュレーディンガーは、最新の“サイエンス”を取り入れた包括的な製品開発を進めており、一般的な分子モデリングはもちろん、たん白質の立体構造に基づくストラクチャーベースドラッグデザイン(SBDD)、結合する低分子構造に基づくリガンドベースドラッグデザイン(LBDD)、さらにデータの共有や視覚化・分析に活用できるプラットホームソリューションまでを幅広く提供している。
とくに、全額出資の日本法人が活動を開始して1年が経過し、トレーニングコースを定期的に開催するなど、サポートサービス面が大幅に向上した。技術スタッフも充実させたことで、国内の学会・研究会などで同社の“サイエンス”を直接紹介できるようになり、コンサルティング事業にも弾みがつきつつあるという。
製品面では、SBDDの中核をなすたん白質立体構造予測の「Prime」、高精度・高速ドッキング解析を行う「Glide」に加え、最近ではリガンド結合部位における溶媒和水の自由エネルギー計算を行う「WaterMap」に対する関心が高まっている。たん白質とリガンドの相互作用における水の影響を精密に考慮することが可能で、欧米で論文が増えているなどの実績で注目されているもの。
また、9月にナミキ商事から約450万件の化合物データベースが提供開始された。とくに、ケムインフォマティクス製品の「Canvas」で使用できるフォーマットが用意されており、各種のプロパティー計算も実施済みである。
一方、新たな試みとして今年からクラウド環境でのソフト利用を推進しているが、国内でも10月に第1号ユーザーを獲得した。大量のバーチャルスクリーニングなどを行う際に、一時的に計算リソースを爆発的に使用したいといったニーズに応えるもの。年間に1万CPU時間までを300万円で使用できる。
同社はこれまで創薬支援分野に特化してきたが、来年には材料設計市場にも進出する意向を表明しており、こちらも具体的な製品の登場が注目される。