2012冬CCS特集:TSテクノロジー
ネット販売式の新サービス、計算結果を手軽に入手
2012.12.06−TSテクノロジー(Transition State Technology)は、山口大学発ベンチャーとしての高度な技術をベースに計算化学に関する総合的なサービスを展開。量子化学計算による化学反応解析を得意としており、具体的なテーマを定めた受託研究から、受託計算を中心とした理論解析まで幅広いサービスを展開している。最近では、社内で開発・活用してきたソフトをパッケージ化して販売する事業にも乗り出しており、その活動は全国に渡っている。
今回、同社は社内の高速並列計算環境を生かし、手軽に計算結果を得たいというニーズに応えた物性計算サービス「クイックオーダーシステム」を開始した。同社のホームページからネットショッピングのようなスタイルで、計算を依頼することができる。
表示されるメニューから、全エネルギー計算、紫外線可視光吸収スペクトル、振動円二色性スペクトル、赤外線吸収スペクトル、双極子モーメント、分極率、静電ポテンシャル、イオン化ポテンシャルなど、自分がほしい計算結果だけを選ぶことができるのがメリット。解答は即日に得られ、料金は1件当たり約2万円からと、金額的にも利用しやすい。
実測が難しい未知化合物やサンプル合成前の基本データの収集、バーチャルスクリーニングによる化合物探索、各種スペクトルによる化合物同定、反応性の比較検討などのほか、実験論文に計算データを加えたいといった用途に気軽に利用してほしいとしている。
一方、社内システムの外販化では、複合並列計算環境を高度にコントロールするジョブスケジューラー「ORCHE[MI]STRA」(オーケストラ)の評価が高い。同種の一般的なソフトと違って、計算化学分野向けに最適化されているため自動化の効率が高く、複数の計算システムが混在していても、メモリー量やディスク使用量を動的に変化させて適切なところにジョブを割り振る機能を持つ。今回の「クイックオーダー」でも、このソフトが背後で活躍している。