2012冬CCS特集:ウェイブファンクション

iPadで分子モデル操作、企業向けサーバー版も

 2012.12.06−ウェイブファンクションは、分子モデリングをだれにでも身近な存在とすることを目的に、アップルのiPadなどで利用できる「iSpartan」を商品化し、国内でも提供を開始した。AppStoreを通して1,700円でダウンロードすることができる。

 「iSpartan」は、タッチ操作で構造式の作図や3次元モデルの表示、分子軌道法(MO)計算結果の閲覧などを簡単に行うことが可能。あらかじめ5,000件の化合物データベースが内蔵されているため、美しいグラフィックスで分子軌道図や静電ポテンシャルマップを表示させたり、NMRやIRスペクトル図を確認したりして、一種の分子図鑑のように楽しめる。

 また別途、「iSpartanサーバー」を導入すれば、本格派の分子モデリングシステム「Spartan '10」用のフルセットのデータベース(20万件以上のデータを収録)をiPadから検索したり、任意に組み立てた分子構造に対してリモートでMO計算を実行させたりすることも可能になる。企業ユーザーには便利な機能だ。

 一方、現在の主力製品である「Spartan '10」は、来年の春にはバージョンアップする予定。和光純薬の試薬カタログがデータベースに正式に追加されることになっている。実際にMO計算を実施して構造最適化も済ませたデータが収録されており、非常に付加価値が高い。

 ところで、同社の日本支店は今年の8月で10周年を迎えた。設立以来、大学や高専向けにCCSを教育に活用するための啓もう活動をワークショップとして実施してきており、その功績は大きい。カリフォルニア大学で教鞭をとった経歴(名誉教授)を持つ開発者のヒーリー社長自らが定期的に来日して実施しているもので、最近ではヒーリー社長が行うアドバンスコースとベーシックコースのほか、半日で基礎演習が行えるショートコースも好評だという。


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