CCS特集2013年夏:アスムス

材料科学分野で豊富な経験、文科省プロと共同歩調

 2013.06.26−アスムスは、原子レベルでの材料シミュレーションを専門に取り扱う企業として、昨年から本格的に活動を開始した。現在は、文部科学省プロジェクト「イノベーション基盤シミュレーションソフトウェアの研究開発」(RISS)のもとで東京大学生産技術研究所および物質・材料研究機構のチームによって開発されているナノデバイスシミュレーター「PHASE」を中心に、パッケージソフト開発、受託解析、コンサルティングなどのビジネスを推進している。

 PHASEは、純国産の第一原理バンド計算ソフトで、ナノデバイスの構造・機能を量子論的に高精度に解析・予測する機能を持っている。RISSのサイトから公開版プログラムを無償で利用することができるが、同社のスタッフは実際にこのプロジェクトに携わっており、開発者の立場でユーザーに各種サービスを提供。

 また、同社が製品化した「asms/PHASE」(年間使用料80万円から、アカデミックは半額)は、公開版にはない仕事関数の計算機能を搭載している。これは、固体表面から1個の電子を取り出すために必要なエネルギーで、表面の研究において非常に重要な物理量である。実際に、タングステン表面を酸化ジルコニウムでコーティングすると仕事関数が低減することを計算で確かめたという。

 この機能は、公開版にも次のバージョンアップで盛り込まれる予定。同社では、あまり独自の拡張は行わず、PHASEの開発チームと歩調を合わせていく方針だ。

 将来的には、他のソフトも取り入れて、材料シミュレーションの幅広い領域をカバーする製品体系・サービス体制を整備していく考えである。


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