CCS特集2013年夏:富士通九州システムズ
臨床データ基盤に高精度化、海外市場進出にも意欲
2013.06.26−富士通九州システムズ(FJQS)は、独自にCCSパッケージソフトの開発を進める一方、富士通や菱化システムが取り扱う製品の販売も行っており、システムインテグレーターとしての開発案件も含めて、幅広いニーズに対応している。
とくに、独自製品はライフサイエンス系がメインになるため、MedeAやADF、CULGIといった菱化システムの材料系モデリング製品は、同社の製品ラインをうまく補う存在。今年はおひざ元の福岡でこれらのハンズオンセミナーを開催し、地元のユーザーから好評を得た。
さて、自社製品として開発に力を注いでいるのが、薬物相互作用を予測する「DDIシミュレーター」。元東京大学・杉山雄一教授の監修を受けて開発されたソフトで、米国の関連学会に出展するなど海外での普及も目指している。ちょうど今週24日に米国シアトルで開催された国際薬物相互作用学会(DDI)に合わせてセミナーも開催した。出席者のレベルが高く、毎回参考になるコメントをもらっているという。
同学会では、最新バージョン2.2を先行でお披露目したが、予測のもとになる薬物データベースをさらに充実させた。とくに、臨床での被相互作用薬/阻害薬の単独および併用時の血漿中濃度推移データから、インビボ(生体内)でのKi値を算出しデータベースに登録していることがミソ。基礎データの収集からKi値の算出、検証作業まで、1つのデータを登録するのに数カ月かかることもある難作業だという。インビトロ(試験管)データをベースにした他社システムと比べて高い予測精度を誇る。
一方、「ADMEWORKS」では、ヒト消化管吸収率の定量的予測モデルを開発し、今年の日本薬剤学会で発表した。初期段階のスクリーニングに有効で、年内には製品に搭載して提供する予定。
また、AMES変異原性予測モデルは、ICH-M7ガイダンスの要求であるOECDバリデーション原則に準拠していることを確認した。今後、インシリコによる代替モデルとしての普及を目指す。