CCS特集2013年夏:物質・材料研究機構

多彩なデータ提供に高評価、民間利用でコンサルも

 2013.06.26−物質・材料研究機構(NIMS)の材料情報ステーションは、世界最大級の物質・材料データベース「MatNavi」をインターネット上で運営・公開している。登録ユーザーは8万人を超え、月間アクセス数もコンスタントに150万件を突破。長年の功績が評価され、昨年度の情報化促進貢献企業等の表彰で文部科学大臣賞を受けた。

 MatNaviには、高分子の基礎物性データを集めた「PoLyInfo」、同じく無機材料の「AtomWork」、金属材料の「Kinzoku」をはじめ、国内でコツコツと蓄積された20種類近いデータベース、データシートが集められており、世界中の研究者・技術者に無償で公開されている。

 今回の文部科学大臣賞も、材料開発に有用なデータを国内外に広く提供することを通じ、わが国の情報化の促進に貢献したという理由で表彰されたもの。合わせて昨年度の補正予算の対象にもなるなど、国からの期待も高まっている。

 この補正予算は、AtomWorkに登録された材料データに対して第一原理計算を行い、電子構造データベースを新たに拡充する目的で利用される。専用計算機の導入を経て、8月末から実際の計算に入る予定だという。

 MatNaviの情報はオンラインで利用するのが基本だが、NIMSでは民間企業に対して中身のデータを有償で提供するニーズにも応えている。実際に、PoLyInfoを社内で利用するためのシステム開発を目的としたコンサルティング契約をある企業と結んでおり、この4月からプロジェクトがスタートしているという。

 今後は、MatNaviの活用事例を積極的に集める考えで、それを11月に計画している材料データベースシンポジウム「MITS2013」での主要テーマに据える。


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