CCS特集2013年夏:QuantumWise Japan

共同研究など開発面にも力、解析エンジン機能拡張

 2013.06.26−QuantumWise Japan(クオンタムワイズ)は、量子力学的手法で電子デバイスのナノスケールでの特性をシミュレーションする専門ベンダー。デンマークが本拠だが、国内では東京理科大学との共同研究を推進するなど、開発面の活動にも力を入れている。

 その共同研究は2年間の契約が今年の8月に満了するが、さらに1年間の延長が決まった。そこで、第1期プロジェクトの総決算の意味も込め、20日に「機能性ナノ材料開発に役立つ先端シミュレーション」をテーマとするワークショップが開催された。これは、東京理科大学総合研究機構ナノカーボン研究部門と同社日本法人との共催により行われたもので、全国の大学から先端の研究者が一堂に会し、民間からも多くの聴講者が集まったという。

 さて同社は、密度汎関数法や半経験的方法に基づく計算エンジンの「Atomistixツールキット」(ATK)と、モデル構築から計算の実行、結果の表示までを行うGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)ソフト「Virtual NanoLab」(VNL)の2つの製品を持つ。

 とくに最近では、原子スケールのモデリングプラットホームとして機能を広げており、8月にリリースされる最新バージョンでは、独自エンジンのATK以外にも、平面波基底の密度汎関数法ソフトABINIT、古典力場プログラムのTremoloXなどがVNLのGUI環境で利用できるようになる。また、ATKも新機能として電子のスピン自由度を考慮した計算が可能になる。これにより、磁性材料のシミュレーションが高精度化するという。

 初心者向けから応用編まで自習用のチュートリアルが揃っていることも、利用者拡大に寄与している。


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