エルゼビアが反応・化合物DBサービス「Reaxys」をリニューアル
コンテンツを大幅拡充、目的別の検索フォームを直接表示
2013.04.10−エルゼビアは、世界最大級の化学反応・化合物データベースサービス「Reaxys」を4月から刷新し、大幅にコンテンツと機能を強化した。400誌強だった収録対象のジャーナルを約1万6,000誌にまで広げ、約3,400万件の反応情報と5億件を超える実測物性値を収録。非常に幅広い化学情報を豊富に提供できることが特徴となっている。インターネット経由で利用できるが、今回はトップページもリニューアルされており、目的に応じた検索フォームにダイレクトにアクセスできるなど、操作性も大きく向上している。
新しくなった「Reaxys」は、文献検索や研究領域に関する調査といった研究の上流から、実験情報の入手、レポート作成や論文発表まで、化学研究のワークフロー全体をカバーする。人手ではチェックしきれない情報ソースを網羅し、データを解析し絞り込むことによって深い知見を得ることが可能。約200人のユーザーを対象にした調査によると、Reaxysを使うことで研究スピードが約30%アップし、コストは25%削減されたとの結果を得ているという。
さて、今回の機能強化だが、まずコンテンツの拡充が最大のポイント。従来のReaxysの収録対象は約400誌の有機化学分野のコアジャーナルと一部の特許だったが、今回はライフサイエンス、エンジニアリング、薬理学、環境科学などの多岐にわたる分野の書籍や学会抄録を含む約1万6,000誌の定期刊行物が対象となっている。これらの追加コンテンツには、文献検索フォームを使って、タイトル、抄録、キーワードでのアクセスが可能。構造式を使った検索については、従来の収録範囲のコンテンツに限定される。
とくに、トップページがリニューアルされて使い勝手が向上。「Substances / Reactions」(構造検索)、「Identification」(物質検索)、「Literature」(書誌情報検索)の3つの検索フォームをダイレクトに選択できる。構造検索は従来のイメージに近いフォームで、構造式を描画して物質や反応情報の検索を行う。物質検索は構造式以外のフィールドを対象にしたもの。書誌情報検索は著者名や特許番号などの書誌事項からの検索フォームで、今回拡充したコンテンツについてはこちらが主な対象となっている。
また、データ量の増大にともなって検索でのヒット件数も大きくなるため、検索結果を解析する機能も強化された。これは、新たに搭載された“Analyst View”機能で、検索結果を可視化し素早い理解を可能とさせるもの。例えば、触媒と溶媒、溶媒と収率、分子量と沸点など、検索結果の2つの要素の分布と関連性をフィルターを使うなどして視覚化することにより、その傾向を考察することができる。複数の検索画面から特定の情報を取り出して1つのレポート画面に集約する機能も備えている。レポート画面上で情報の並べ替えや追加も容易で、その結果を随時他の人と共有することもできる。
Reaxysはもともと反応情報が豊富であるため、合成法の検討に使われることも多く、そのための“合成計画(Synthesis Planning)”機能が搭載されている。これは、合成したい化合物の前駆体を逆合成的に検索することで合成経路を図示できる機能。これまではマニュアル操作で経路を組み立てたが、今回の機能強化で複数の逆合成経路を自動的に作成する“Autoplan”機能が実装された。複数の経路を同時に表示して比較したり、全体をみながらマニュアルで情報を追加したりすることによって、オリジナルの経路を検討することも容易に行える。
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<関連リンク>:
エルゼビア・ジャパン(Reaxys 製品紹介ページ)
http://japan.elsevier.com/products/reaxys/index.html
エルゼビア・ジャパン(Reaxys アップデートのお知らせ文書)
http://japan.elsevier.com/products/reaxys/reaxys_update_201304.pdf