日本マイクロソフトが最新PC環境への移行支援強化期間スタート
WindowsXPなど1年後にサポート終了、セキュリティリスクで移行推奨へ
2013.04.13−日本マイクロソフトは9日、Windows XPおよびOffice 2003、Internet Explorer 6 のサポート終了まであと1年となったのを機に、業界パートナー約360社と連携し、Windows 8 と2013年版新Officeへの「移行支援強化期間」としての取り組みをスタートさせると発表した。主に法人ユーザー向けの施策で、告知の強化、移行に向けた作業の支援、費用負担軽減のための金銭面でのサービスなどの内容となっている。記者会見では、サポート切れの製品を使い続けることによるセキュリティ上のリスクが強調された。
同社は、今回の記者会見に業界パートナーだけでなく、公的機関であるJPCERTコーディネーションセンターと情報処理推進機構(IPA)を招へいし、第三者的な立場からセキュリティの危険を訴えるようにした。
Windows XPは2001年10月に発売されたOSだが、民間の調査会社IDCによると、国内で稼働しているパソコンは企業・法人向けで3,517万台、家庭向けで4,225万台で、そのうちWindows XPは法人用の40.3%を占める1,419万台、家庭用の27.7%に当たる1,170万台がいまも現役で使われている。
とくに法人向けでXPの比率が欧米よりも高い理由について、樋口泰行社長は「IT投資の考え方の違いがある。日本ではIT投資は経費削減のやり玉にあがりがちだが、欧米はITを戦略的に位置づけているため、不況でも投資が減らされることはあまりなかった」と解説した。
この日のJPCERTやIPAの説明によると、ネットワーク上の脅威は日々変化しており、最近増えてきている標的型攻撃に対しては、ウイルスソフトを導入するなどという対策の以前に、OSやアプリケーションのぜい弱性を修正するアップデートを行うことが重要なのだという。また、解析技術の進歩によりぜい弱性の発見には終わりがない。実際、Windows XPについてはいまだに毎月いくつもの新しいぜい弱性が発見されているというデータが公表された。その意味では、来年4月9日のサポート終了後も新たなぜい弱性がみつかるわけで、そのような状態で使い続けるのは危険だと指摘された。
マイクロソフトによると、Windows Vista / Office 2007 以降の製品は、標的型攻撃への備えをはじめとしてセキュリティ面の土台がそれ以前の製品とは根本的に異なっており、Windows XPをアップデートし続けてもOSの構造上の限界があるのだという。同社の調べでは、Windows XPはWindows 7と比べて、マルウエアに10倍以上感染しやすい。
さて、具体的な移行支援のための取り組みだが、まず特設サイト(関連リンク参照)を設けるなど告知を強化するとともに、IT専任スタッフが少ない中堅・中小企業向けに無料の相談窓口(フリーダイヤル:0120-023-999)を用意した。さらに、金銭面での支援として、最新環境へのアップグレードライセンスを通常価格の15%引きで提供するほか、Officeをクラウド環境の「新Office365」に移行した場合の「トレーニングご支援キャンペーン」として最大25万円のキャッシュバックを行う。
それに加え、全国360社のパートナーからもさまざまな移行支援サービスも展開される。その中には移行費用を賄うためのファイナンシングサービスも含まれている。(写真参照)
会見に同席したソリューションパートナーの代表は、「パソコンの移行作業は1台につき早くても1時間、半日、1日かかる場合もある。ユーザーにとってはたいへんな手間だ。まだ1年あるなどと思わず、早めに決断してほしい。とくに、来年4月の消費税増税がサポート終了と重なるタイミングになるので、われわれITベンダー側は消費増税の対応作業で手いっぱいになる可能性が高い。今年の9月くらいまでに移行しておくのが理想だ」と話し、すぐに検討をと呼びかけた。
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<関連リンク>:
日本マイクロソフト(サポート終了に関する特設サイト)
http://www.microsoft.com/ja-jp/windows/lifecycle/xp_eos.aspx
日本マイクロソフト(中堅中小企業向けページ)
http://www.microsoft.com/japan/msbc/Express/sbc/eos/default.aspx
日本マイクロソフト(大企業向けページ)
http://www.microsoft.com/ja-jp/business/enterprise/eos/default.aspx