CCS特集2013年冬:菱化システム
作用機序・適応症など予測、既存薬の再開発でも効果
2013.12.05−菱化システムは、生命科学系から材料科学系まで国内外のユニークなCCS製品を取り扱っている。とくに、モデリングやシミュレーションの高度な専門知識を持つとともに、三菱ケミカルホールディングスグループのシステムインテグレーターとしての開発力・総合力も強みで、研究所の情報システム化に関する幅広いニーズに応えている。
多くの製品群の中で、来年に向けて戦略商品と位置づけているのがスペインのプロウスインスティチュートが開発した「SYMMETRY」。学術出版社を母体とする企業として、50年以上にわたって蓄積してきた3,600万種にものぼる巨大な化合物情報を生かし、作用機序や適応症など他では得られないユニークな予測モデルを多数構築し搭載している。
創薬研究におけるスクリーニングだけでなく、既存薬の再開発やライフサイクル最大化のためのドラッグリポジショニングの検討などにも有効。とくに、最近のキナーゼ阻害剤開発などの例では、病態と発症機構に対する複雑性から複合薬理学的な手法が注目されているが、SYMMETRYの機能はそうしたトレンドにも合致しているという。
また、米食品医薬品局(FDA)と共同開発された安全性モデルへの評価も高い。モデルのもとになるデータベース蓄積も継続的に行われているため、モデルの精度や種類がどんどん拡張されることも大きな特徴といえる。
国内では今年の夏から販売開始しているが、反響が大きいため、12月には開発元を日本に呼んで、直接顧客訪問を行うことにしている。
一方、材料設計分野では米マテリアルズデザインの「MedeA」が好調。量子力学などさまざまな手法を駆使した統合的な材料設計支援システムで、実験データと対比できる実用物性の予測が可能になってきたことで、一気に注目度が高まった。最近では、熱を回収して電気に変換する材料開発を目的に自動車メーカーが導入するなど、引き合いも本格化している。