CCS特集2013年冬:シュレーディンガー

高精度化へ最新の科学採択、FEP利用の新手法など

 2013.12.05−シュレーディンガーは、急成長を続ける米国のCCSベンダー。日本法人も技術サポートを充実させてきており、通常の製品トレーニングだけでなく、アプリケーションサイエンティストによる解析支援、社内のクラスターシステムを用いた受託計算、導入支援などきめ細かな対応を行っている。

 同社はとりわけ“サイエンス”を重視しており、常に計算化学の最新手法を取り入れて、計算精度を向上させることに不断の努力を払っている。先月行われた日本ユーザー会でも、自由エネルギー摂動法(FEP)を利用したリード化合物の最適化と探索のための最新手法が発表された。高速・高精度に化合物の活性を予測できる。

 FEP自体は以前からある技術だが、新しいRESTアルゴリズムを導入し、力場も最新高精度のOPLS 2.1を採用、使用する分子動力学エンジンをGPU(グラフィックプロセッサー)で駆動するなど、野心的なつくり。ビル・ゲイツからの投資を資金に5年がかりで開発してきたもので、欧米の一部ユーザーで評価中だという。評価環境としてはGPUが重要になるため、国内ではGPUマシンと一緒に貸し出すことも計画中だという。

 一方、既存製品群も着々と機能強化が施されている。とくに今年からは四半期ごとに最新版が提供されるようになったが、これはタイムリーに新しい機能を使ってほしいという考え方を反映したもの。ユーザーからの要望を順次取り入れて、解析精度を向上させたり、使い勝手を良くしたりと、細かな部分まで洗練されてきている。

 最近の機能強化では、分子動力学法ソフト「Desmond」の解析機能が充実し、図式による計算結果の理解が深まったこと、「Glide」がペプチドのドッキング解析に対応したこと、リンカーライブラリーの充実で母核置換ソフト「CoreHopping」の実用性が高まったこと、誘導適合を考慮できる「InducedFit」に新プロトコルが追加されたことなどが注目されている。


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